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全身の毛穴が開く嫌な感触がする。
「……すまねぇ、ヒルたちの対処任せた」
「準備ですか?任せてください」
「……ああああ!!畜生!!!」
大穴を開けたRPG-7を車の横に置きっぱなしにしていたようだ。機動部隊も時間がかかるし、廃材が見当たらない。
「そうか!ショットガン!」
もう1度、目を起動させショットガンをRPGに変える。
「準備できた!破片とかに気をつけてくれ!」
「わかりました!」
本日2度目のRPGの出番、どちらも良い活躍をしてくれた。
そう思っていた。
「あの、ゲートはどうするんですか?」
「えっ」
「嘘ですよね?」
「忘れてたわ」
流石の冠城ですら呆れていた。
「まぁ、侵入した所にロープ残してきたから、そこから抜けよう」
「できます?私1人で降りれないんですが……」
「おぶってやるから大丈夫だ」
「……いいんですか?」
「おう、任せてくれ。財団の保険は……」
「不安しかないです」
最初から怪我する前提で行く浮舟に冠城は不安を覚える。一方の浮舟は鼻歌を歌いながら、ショットガン片手にロープを目指している。
「……あの、少し待っててくださいますか?」
「いいよ。俺も少し調整入れるわ」
地面に刺しておいたレイピアを外側に差し直す。冠城はある特性を利用していた。
「お待たせしました」
「こっちも終わった……って、ええ?」
「少しは楽になるかと」
「いや、まぁ、そうだけど……」
冠城は僅かに小さくなっていた。体格も少し変化している。
そんな冠城に浮舟は驚きを隠せなかったが、緊急事態ということもあり、すんなりと受け入れた。
「私は性別が特に決まってないんで」
「そうか……とりあえず落ちないようにな」
「頼みますよ?」
冠城をおぶって、壁に手をかける。力を入れ、上に立ち上がる。
「どうするんですか?」
「義手をフックに変えるから少々お待ち」
「義手なんですね」
「まぁな」
フックをかけ、ロープを伝って地面に降りる。
「ほれ、着いたぞ」
「助かりました」
遠くから機動部隊が列をなしてやって来る。
冠城は元に戻っていた。
「あの、今度会う時には……その右腕と左目の話を聞かせてください」
「おう、もちろんだ」
日が落ち、辺りはすっかり暗くなっていた。
2人は出動した機動部隊に敬礼し、事情聴取へと向かった。
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作者名:アイン | 作成日時:2019年12月23日 21時