アインの文書保管庫 (ページ10)

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｢うわっ！？｣

壁に大穴が空いて、煙が上がる。
ただ、残念なことに冠城が通るにはまだ小さいみたいだ。
とりあえず適当に拡張し、気合いで降りることにした。

｢誰かいるな。さすがに撃つのは控えよう｣

人影の正体も気になるし、サイトが大惨事になってることは一目瞭然だ。とりあえず本部に連絡し、事態を報告する。
そこら辺にある金属系の廃材を握り締め、浮舟は自身の異常性を発動させた。
手に取った廃材ははあっという間にレイピアに変化した。それを手早くロープに巻き付け、侵入の糸口にする。

｢刺さってくれ｣

刺さる音と共に爽快感が胸を駆け巡る。
壁にも突き刺し、ロープを伝ってゆっくりと侵入する。今の気分は泥棒だ。

｢まぁいけるだろう。落ちる時はしょうがない、財団の保険に頼ろう｣

手足とフックを器用に使いながらサイトの壁をよじ登る。穴にフックをかけたその時、浮舟に悲劇が襲う。｢うわっ！？落ち……｣

力を抜いてしまって落ちようとしていたが、何者かの強い力に掴まれてぶら下がっている。

｢少し手荒ですがすみませんね。すぐ引き上げるから耐えててください」
｢あぁ、助かるぜ｣

フックが削る音に気付いた冠城は穴へと向かっていた。そこで、落ちかける浮舟を見つけ、咄嗟に彼の腕を掴んだのだ。

｢……降りる時のことは？｣
｢あっ｣
｢考えてなかったんですね｣
｢気合いでどうにかなる。財団の保険制度はいいものだしな｣

何やら汚い音に顔をしかめる2人。音のする方向を見ると……？

｢ナニアレ｣
｢……サイトが壊滅した原因です｣
｢え、どこの世界線のサイト-13なの？ちょっとこれはまずいぞ｣
｢確実に追い込まれましたね……｣

浮舟の腰にはまだ大量のナイフとティースプーンがある。

｢後ろに下がっててくれ｣
｢何をするんですか？｣
｢まぁ見ててくれよ｣

浮舟の左目が赤く光る。機械的な光だ。
｢！？｣
｢とりあえずショットガンでいいか｣
｢え、今何を……｣
｢こんな気持ち悪いものほっとくわけには行かないだろ？｣
｢ん……まぁ……｣
｢2丁あるから1つ持っておくといいさ｣
｢ありがとう……ございます……｣

2人でヒル達を一掃し、出入口にたどり着く。

｢にしても、汚ねぇ産卵音だ。聞いてて頭おかしくなりそうだ｣
｢あまりいい音では無いですね。というかどうやって出るんですか？｣
｢セキュリティもイカれちまったんだろ？｣
｢はい……蹴っても揺れたくらいで｣
｢えっ、まぁいいや｣