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一方その頃、捕えられた冠城はというと。
「ははぁ……せめて綺麗な遺体で帰りたい」
「黙れ。人質の分際で余計なこと喋んな」
「いや、あの、松原さん来たら解放して貰えるんですよね」
「おう、考えてやるよ」
冠城は絶望した。
「あっ、松原尋問官!起きた!」
「んぁ……」
「ほら、早く行きますよ」
「待ってくれ。お前一体何した?」
「ほら!先輩!あれです!」
「質問に答えなさい……というか今から何を……」
「おい、壮月」
「はい!」
「超高速であの建物につっこめ」
「はっ!?何考えてるんだ!?」
「派手にやっちまえ!」
「とつげきー!!」
「ふざけるなぁ!」
墨染&壮月コンビに怯える松原と海琴。
海琴がしっぽを松原に差し出し、それをクッション代わりにする。
「あービックリした。このヒヤヒヤ感が癖になるわー」
「覚えとけよ……後でギッチリ締めてやる……」
壮月の体当たりで建物に大穴が空く。
こんな異変に気付かないやつは一人もいない。カオスの連中が出てきたようだ。
「なんだお前ら」
「尋問官の松原だ。約束通り冠城を返してくれ」
「付き添えの墨染よ」
高笑いする連中に2人は身構えた。
そして、こう続けた。
「へっ、もう少し痛めつけてからだな」
「話が違うぞ!」
「お前だって同じことし……」
血飛沫が舞う。墨染が嗤う、男が倒れ込む、松原が青ざめる。
「てめぇ!何して……」
「甘い!そして、遅い!」
駆けつけた男達も容赦なく切りつける。
冠城を救出する絶好の機会と判断した松原はハンドサインを送った。
それを理解した墨染は徹底的に敵を煽って引きつけることに専念する。
「人海戦術にも限界があると思うんだけど」
「なめやがって!」
「おっと?包囲攻撃なんて多少は頭使えるのね」
薙刀で男たちを次々と斬ってゆく。減速を男たちにかけ、加速効果を自分に付与するという無茶苦茶なことを墨染はやっていた。余裕だと思っていた。
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作者名:アイン | 作成日時:2019年12月23日 21時