【HQ】悪夢Memory【悪女主】

41 見てしまった光景は。 ページ42

影山 飛雄side






Aさんが居なくなる。

嫌だ、そんなの絶対に嫌だ。

Aさんが居なくなる事はバレーが出来なくなる程のレベルで嫌だ。




何でなんスか。

俺、まだAさんと一緒に居たいのに。

何で、俺達から離れるんスか。








朝練終了前に一試合だけする事になった。

が、相手チームのセッター。

つまり、菅原さんが体育館に居ない。




可笑しい。

何時もなら澤村さんと作戦を立てているのに。








「あれ？スガさんは？」



「そう言えばさっきから見かけないな…。影山、ちょっと見て来てくれないか？」



「あ！アタシが行きましょうか？」



「結構です。貴方はマネの仕事をしてて下さい。」



「おい影山！んな言い方…。」







俺は日向を無視して体育館を出た。

菅原さんを探す振りをして、谷地さんに仕事を押し付けるのが目に見えていたからだ。

そんな事させるか。





空野とか言う奴はやはり嫌いだ。

さっきだって日向を使って谷地さんを責めた。

Aさんなら絶対にそんな事しない。




だから、名前で呼ばない。

呼びたくもない。









……とは言え、

菅原さんと顔を合わせるのも正直嫌だ。

選手、先輩としては尊敬しているが

人としては最低な人だとしか思えない。




何で、あんな事を言ったんですか。

俺、2人が本気で愛し合っていると思ったから


……身を引いたのに。







「菅原さ……え、」







倉庫前に見覚えのある灰色の髪。

灰色の髪なんてウチの部には1人だけ。

菅原さんだ。




だが、一つだけ気になる事があった。

気になると言うより、驚いた。









何せ、あの菅原さんが、





「ぅ、ぁっ……っ！……うぅっ……！」






泣いているのだから。






「ご、め………、ごめ、んなっ…！A…っ！」



「え…？」







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