【HQ】悪夢Memory【悪女主】

04 美味しい筈なのに。 ページ5

____…






「……花！…仁花！ねぇ、仁花ってば！」


「わ、わわ！友ちゃん…どうかしたの？」


「それはこっちの台詞よ！
今日はずっと上の空だし、何かあった？」






友達にここまで心配される程、私は上の空だった。

Aちゃんという存在は、

私にとってかけがえのない存在だ。




こんな私をマネに勧誘してくれて、

慣れない事も優しく、時に厳しく教えてくれて、

良くジュースを奢ってくれて、



当たり前の存在の人だった。







……その人が少しの間、いない。

寂しい、寂しいよ。

こんな時こそ頑張らないといけない事ぐらい私でも分かる。でも、でもっ________！



____やっぱり、貴方がいないと駄目なんですっ…。









「ほれ！私の奢り！」


「ありがと…)ゴクッ」







友ちゃんがくれたジュースは私の好きな飲み物。

Aちゃんが良く奢ってくれた。

美味しくて、大好きな筈なのに、


……凄く、苦く感じた。







「ヒック、ゔぅ〜〜〜〜っ！」


「え、仁花⁉ちょ、どうしたのさ⁉」


「おい、谷地⁉」






我慢出来ずに泣いてしまった。

飲み物一つでAちゃんの存在が大きくなる。



ああ、神様。

どうしてAちゃん何ですか？

Aちゃんを早く返して下さいっ…。







「ご、めんね…っ！ちょっと顔洗ってくるっ…。」


「………仁花…。」





私はトイレへ向かい、顔を洗った。

泣いたって他の皆にバレないと良いけど。

そう思い、何度も何度も水を顔に掛ける。



でも、それは、

まだ溢れてくる涙を誤魔化す為でもあった。







「あ、仁花ちゃん！見つけた！」


「清水さん……？」







やたらご機嫌に私の方に来る清水さん。

満面の笑みで、今朝では考えられない程の笑顔。

どうして？



まるで、Aちゃんの事なんてどうでも良いみたいに笑わないで下さいよっ…！






____…

05 現れたのは。→←03 事実から目を。

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す