【HQ】悪夢Memory【悪女主】

34 音駒と最初の記憶。 ページ35

風町 Aside






「Aっ！」


「衛輔…それと、この人達が音駒の？」








赤いジャージを身に纏い、病室に入って来る衛輔。
その後ろからゾロゾロと同じ様にジャージを着た人達が入って来る。



中には身長がかなり高い人も居て、驚いてしまう。






「Aさーーーんっ！！！」



「あ、こら馬鹿リエーフっ！！」



「え、あ、あの、何ですか！
初対面の人に失礼ですよ！」







一番背の高い人に抱き着かれ、全身が痛む。
まだ目を覚ましたばかりなのに、容赦が無さ過ぎまで私は思った事をそのまま口にした。




リエーフ、と呼ばれた人は涙目になっていた。
その瞬間、嫌でも分かってしまう。


____この人達の事、忘れちゃったんだって。








「ほ、本当に覚えてないんですか…！？
俺ですよ！音駒のエースになる男、灰羽リエーフですよ！？先月会ったばかりなのに、本当の本当に覚えてないんですか！？」



「リエーフ、止めろ！」



「先月…？私が、貴方と？」








灰羽くんは何度も頷いた。
でも、私は先月にこの人に会った記憶がない。
衛輔も覚えているなら、きっと彼が言っている事は正しい。









なのに、私は忘れた。
自分が情けない。
弱くて、大切な記憶をなくす自分が。




私は口を押さえ、ただ、泣いてしまった。








____…

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