【HQ】悪夢Memory【悪女主】

30 何故私には届かない？ ページ31

____…







「東、京…？」



「そう、これからまたリハビリとかで生活も不自由になるでしょ？貴方、東京の大学志望なんでしょ？そろそろ一緒に暮らしても良いかと思って。」








確かに、これからの1人暮らしは辛い。
退院しても通院とかあるし、母さんもそろそろ東京に戻らないといけない。
大学も東京だし、慣れておいた方が良い。








それに、これ以上宮城に居ても意味がない。
裏切られたのに、皆の為にこれ以上私が頑張る必要ってあるのか、
否、あったとしても無意味だ。
もう烏野の皆誰1人、私を必要としてない。





______私はどんなに頑張っても、捨てられたんだ。









「…うん、行くよ。」



「本当っ⁉じゃあ、明日にでも東京に行く準備を始めるわ。善は急げって言うしね！」



「え、幾ら何でも早すぎじゃあ…。」








まだ目が覚めて2時間しか経っていない。
なのに、いきなり東京の準備とか流石に早すぎる気がしてしまう。
何をそんなに焦っているの？




準備ぐらいなら私1人でも出来るのに。
まぁ、出来るなら私も早く宮城から離れたい。
ここに居たら、辛い事ばかり思い出す。









辛い事しか、思い出せない。









「もう、貴方を1人にしたくないの。私が貴方に甘えてしまったばかりに貴方をこんな目に遭わせてしまったし、それに何より…、貴方と無くした時間、貴方が失ってしまった時間を取り戻したいの。」









母さんの言葉はとても胸に響いた。
胸が熱くなる感じがして、心地よい。




それでも、それでも私は、
この感情が何なのか分からない。
この感情が分からない限り、母さんの言葉も




___________私には届かない。









____…

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