【HQ】悪夢Memory【悪女主】

26 質問から見えたのは。 ページ27

武田 一鉄side







可笑しい。

風町さんは普段は僕の事を“武ちゃん先生”と呼ぶ。

武田先生と呼ぶのは、悩み事や空気の雰囲気が悪い時限定。




目を覚めて頭を混乱させているから。

そう言い聞かせる、自分に何度も。








「それでは、質問を始めますね。」


「……はい。」







今は風町さんの脳の状態を検査している。

カウンセリングの先生が来て、

彼女に一つずつ質問していく。



僕らで質問の答えが正しいのか判断する為、

僕らも病室に入らせて貰った。









『まず、貴方の名前は？』


「風町Aです。」


『出身、育ちは？』


「宮城生まれ、宮城育ちです。」


『年は？』


『17歳です。』


『誕生日は？』


「8月8日生まれです。」


『血液型は？』


「O型です。」


『貴方が通っていた小学校、中学校は？』


「○○小学校、○○中学校です。」


『貴方が今通っている高校名は？』


「…烏野高校です。」


『所属している部活は？』


「排球部です。」


『排球部では何をしていますか？』


「マネージャーです。」


『部長、副部長の名前は？』


「部長が澤村大地、副部長が…菅原孝支。」


『顧問の先生の名前は？』


「武田一鉄先生。」


『じゃあ、武田先生をあだ名で呼んでいますか？』


「…？。いえ、ずっと武田先生と呼んでいます。」








ああ、どうやら僕らの嫌な予感は的中した。

彼女は平然と言っているが

僕らにとっては違う。






いつもの笑顔も

いつもの元気な声も

いつもの呼び方も


全てを失っている風町さん。









まるで、明るい自分を忘れてしまった様な…、









____…

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