【HQ】悪夢Memory【悪女主】

19 俺の声はもう届かない。 ページ20

夜久 衛輔side






Aからの応答がない。

聞こえてくるのは何かを殴っている音。

誰かは知らないが少なくともAが襲われている事だけは分かる。









俺は何度も何度も大声で呼んだ。

でも、変わらず返答はない。

殴る音と男女の笑い声の所為で掻き消されている。





A、お願いだから返事をしてくれ。

お願いだからっ……！









「…っ…。」







俺は電話をした状態で録音モードにする。

これで少しは証拠を掴めるはずだ。

そのまま俺はAを呼び続ける。





そして、望んでいない声が聞こえた。








『お、おい…此奴動かなくなったぞ…？』


『え、う、嘘でしょ？』


『し、死んだりなんかしてないよね？』


「……！？」








Aっ…Aっ…Aっ！！！

お願いだ、無事でいてくれ！

頼むから、俺から離れるなよっ！





そんな俺の願いを打ち消す、声がまた聞こえる。








『どうせなら殺しちゃって？邪魔だし、其奴。』


『で、でも柚子ちゃん…。』


『何？アタシの命令が聞けないの？』


『お、俺もう無理っ！！』







柚子？ああ、Aが言っていた奴か。

この女が元凶か。

ふざけるな、もし本当にAが死んだらどうするんだ。




ふざけるな、ふざけるな！

お前だけは絶対に許せない！









その後、空野や他の奴等の声が聞こえなくなる。

俺はその後も何度も呼びかけた。

が、返事は無かった。




俺は立つ事すら不可能な状態になった。

俺は、なんて無力なんだ。

大切な妹1人も救えない。






何で俺は今、東京にいるんだよっ_______！









「Aっ……ぁあっ…！」


「夜久？おい、どうした！？」


「黒、尾っ…Aがっ、Aがぁっ…！！」








____…

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