少年>>6 ページ8
森の中は耳が痛いほど静かだった。
少年は最早何も考えない。
森を歩く。
どこまでも歩いてゆく。
向かう先に光が柱のように降りている。
そこまで行けば、顔も覚えていない母や、それからあの奴、隷に会えるのではないか。
そんなきがしていた。
そこにたどり着くことが出来れば、もう無理をして歩かなくてもいい。
そう思えた。
事実、その通りだった。
そこは少し開けていたが、泉が湧いているわけでも広場になっているわけでもない。
そこには建物が佇んでいた。
木造の家屋らしい建物だ。
全体が黒ずんでいる。
新しくは無さそうだが綺麗に保たれている。
傾いてはいないし、屋根も潰れていない。
少年は暫くその家屋を眺めていた。
近付いて戸を開けた。
思いの外、容易く開けることが出来た。
中は暗かった。
家主はまだ帰ってきていないようだ。
戸を閉めると、湿気た木の匂いが漂ってきた。
やがて、少年の目が暗さに慣れた。
室内は綺麗に整理されいた。
外と比べれば寒さは厳しくない。
少年は窓の木戸を少し開けて光を入れた。
そうすると室内の様子がもっとよく見えるようになった。
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作者名:Ark | 作成日時:2018年7月24日 21時