社会罪 ページ4
「ショート。電気つけてくれ」
「はい」
スイッチを探し、カチッと押す。パッと明るくなり、視界が開けたところに一人の中年男性が寝っ転がっていた。
「なんすかァ？」
「お前を地獄に落としに来た」
「ハハ、何言ってんの？厨二病が酷いなァ！」
「自覚なしか？」
「お前らみたいな能無しに用はない。バイバーイ」
「45歳独身。彼女なし。親は某有名建築会社の社長と取締役。親の収入を合わせれば3、4億の年収。親から秘密で金を徴収している。200万円超えているが税務署に報告なし。ここのボロアパートの他に豪邸を他国に持っている。生活補助金を貰うために所得の偽造。えー、その金で酒、タバコ、ギャンブル、ゲームを行っている。職場なし。要はニート」
「なっ･･･！」
「典型的な社会クズだな」
「人なんだから楽の一つや二ついいだろ！なんだ、ストレスためて殺せってことか！」
「何にストレスを溜めるんだか。ろくに働きもせずぬくぬくと土の中にいるやつがストレスだ何だ語る資格はねぇ」
「はっ、おめぇ等に関係ねぇ！殴るんなら殴れよ！お前らを訴えてやるからな！ぜってぇ負けねぇ！」
「殴るよりも痛い苦痛を味わえや。親のせいで罪を握りつぶされてるだ？俺はそんなん悪くないだと？社会として一つも貢献せず『お荷物』でしかないお前が何言っとんの。未だに親に引っ付くしか出来なくて、お前は一人で何ができるんや？」
「うるせぇ！勝手に入ってきて騒ぐな！」
「お前は法や憲法では裁ききれない。やけど、社会はお前を許さない。社会の流れに反抗して生きるお前に仲間なんて居ない」
「不法侵入だ！警察呼ぶぞ！」
「働かない限り、お前は許されない。お前を社会罪で報告する。残り一週間で職に就こうとする意思が見られない場合、後にどうなるかわからんからな」
「何言ってんだてめぇ！ぶっ殺すぞ！俺が働くなんて絶対しないぞ！俺はこのまま裕福に幸せに生きるんだ！人が言うことなんて絶対聴かない！ぶっ殺す！ぶっ殺す！ぶっ殺してやる！呪ってやる！死ぬまで呪ってやる！」
「警告はした。ショート、帰るぞ」
「･･･」
「ショート、大丈夫か」
「へ、は、はい」
背中を押され、力の入らない足が無意識に動く。最後の最後まであの人は何かを叫んでいた。日本語では無い何かを。日本語だったとしても、全くききとれない奇声を。
続く
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作者名：コロッケさん | 作成日時：2020年3月31日 11時
