近寄るな。大嫌いなんだよ。 (ページ28)

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「あ、小エビちゃんじゃん！俺に会いに来てくれたの？」

「違います。アズール先輩に呼ばれただけです」

アズール先輩に言われた所に座る。あまりいい話を聞かないとジャック達から聞いている。だから、何が来るのか。ただ、不審に思った。

「お話というのはですね、先程話した通りなんですが。フロイドが失礼な事をして申し訳ありません」

なにか怒られたりするのかと思った。頭を下げて謝られて混乱する。

「えっ、頭あげてください！？」

「フロイドから全て聞きました。面識もないと言うのにも関わらず…。この子は大変気分屋でして」

「そ、そうなんですね！別に、もう大丈夫ですよ！」

あの時は凄く嫌だったけど謝られる事じゃない。だってこの人達は何も知らないんだから。特に何があった訳でもなく。軽く世間話をして解散という形になった。

「モストロ・ラウンジのご利用お待ちしております」

やっぱりどこか見ていて嘘臭い笑顔。エペル達にお返しという形で夕食を振る舞うことにした。寮に帰ると寮生がちらほら見える。他の寮生を連れてる俺に視線がビシビシと当たってなんとも言えない気分になる。

「何が食べたい？」

「肉」

口を揃えてそう言うからつい面白くて笑いが込上げる。パチンと指を鳴らして食材を出す。肉としか言われてないからスペアリブと角煮を作った。あんまり凝ったものは作れないけど母さんに教わったものならできる。

「美味い！」

「料理上手いんだな」

「多少はね」

「お主ら何をしておるんじゃ？」

「あ…リリア先輩」

「Aが料理作ってくれたんです」

「ほう。どれ、わしにもくれんかの」

「お、お口に合うかどうか…」

「大丈夫じゃ！わしもAの手料理とやらを食べてみたいんじゃよ」

そう言われて断る理由もない。お皿によそって差し出す。リリア先輩達と食事した時明らかに高級な料理だったから俺のごはんが口に合うかどうか。お金持ちが庶民の作った料理を食べるとか早々無いだろ。

「ん！美味いぞ！」

「ほ、本当ですか！良かったです」

リリア先輩にそう言われたら自信が着く。もう少しでホリデーが始まる。家族にも。あの子にも食べさせてあげよう。早く、会いたいな。2人を門扉まで送って自分の部屋に戻る。カレンダーに書いてあるホリデーの開始日まであと1ヶ月。何も起きずに、普通に過ごせたらいいや。

「元気に、してるかな…」