近寄るな。大嫌いなんだよ。 (ページ29)

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「お前達、行きますよ」

ジェイドと昼飯食ってたらアズールに連れられる。なんかあったっけって思い出しながらアズールの後ろを着いていく。なんとなーく思い出して来た。今日は契約期限が過ぎてる小魚ちゃん達を絞める日だったのを思い出した。いつも溜まっている校舎裏に行くと煙草をふかしながら駄弁ってる。煙草とはまた違う嗅いだ事の無い匂いがして周りを見てもそれらしいものは無い。

「フロイド。そこまでにしましょう」

さっきの匂いについてぼーっとしながら殴ってたらジェイドに止められる。意識が引き戻されてはっ、とする。さっきの匂いはもう無くて。ただ、血と煙草の混ざった嫌な匂いだけ。さっきの匂いは嗅いだ事ないのに、どこか安心する匂いで。ずーっと嗅いでいたかった。こんな気持ち悪い匂いじゃない。

「血腥…」

「フロイド。手が止まっています」

「え、あぁ…ごめん」

今日はシフトが入ってて裏で作業してる。今日は結構やる気あったんだけどなんでこんなに身が入んないだろ。すぅっと鼻から大きく息を吸った時、原因が分かった。あの時の匂いがする。

「ジェイド！俺、そのメニュー頼んだ席行く！」

「で…分かりました。丁度出来たのでいいですよ。アズールにバレないように」

ジェイドの格好して持っていく。近付くにつれてあの時の匂いが増す。誰がこの匂いを撒き散らしてるんだろう。

「お待たせ致しました」

メニューを置く度に。俺が動く度に。ふわりと香るあの匂い。この子だ。真っ白い肌で背が高いのか。座高が高いのか知らないけど背が大きい。俺より小さいけど。細い腕に指。綺麗な茶色の瞳な縁と黒の瞳。小さな顔で綺麗な顔立ちをしてる。俺と目が合った時ちょっと強ばった笑顔をした。笑い返して裏に戻る。可愛い、って。俺さっき思った。あの子男の子だよな。多分、α。

「あれ…？」

あの子から第2性の匂いがした？いいや、してない。嗅いだ事の無い匂いだけ。もしかしてあれが？いや、そんなはずはない。性別が違えど種が違えど第2性は各種特有の匂いが必ずする。αなら少し匂いがキツイ。それは、性格と本能の匂いが似てるから。けど、あの子から匂った匂いはどの種とはかけ離れた匂い。ただ、気になった。もしかしたら俺が知らないだけであの匂いもαなのかもしれない。

「フロイド？何かありましたか？」

近付いてきたジェイドの項周りを嗅ぐ。やっぱり、あの子とは違う。αの匂い。面白そうな小エビみーつけた。

「なんでもなーい」