近寄るな。大嫌いなんだよ。 (ページ19)

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「エイナ。匂いがする」

「え、ほんと？結構したんだけどな」

A君の匂いが僕にこびりついていたのは分かってたから消臭剤振りかけたんだけどまだついてるようでカイラに魔法で消される。Ωだからそんなに違和感無かったけどαからすればわかりやすい。カイラにおでこにキスされて仕事を各自で始める。仕事をしながらも考えるのA君の事。あと1週間でヒートが始まる。ヒートが始まる前に出る不安定な状態でΩの匂いがかなり酷い。普通は抑制剤を打てば何とかなるけど第2性を分からなくする魔法薬の副作用があるとは言えこのままヒートが始まれば僕でも少しキツかもしれない。カレンダーに赤ペンでバツをつける。あと1週間。

「カイラ〜！僕もうマンションに行かないといけないからよろしくね！」

荷物と薬をつめて家を出ていく。今日はA君のヒート1日目。あまりにも酷い場合は僕はマスクをつけて検診しないといけない。昨日の夜にかなり分厚くシールド魔法をかけておいたから漏れてない。覚悟を決めてドアを開けると微かに香るΩの香り。こんなに張ってるのに匂うなんて…。
部屋に入るとマスク越しでもキツいΩのフェロモンの匂い。これは。あまりに酷い。Aがいるであろう部屋に行くと息切れの声が聞こえる。

「A君。ちょっと、入るね」

寝室のドアを開けた風でモワッ、っときつい匂いが鼻に届く。布団にくるまって息を切らしてる。基本的にはヒート中はΩの本能である繁殖行為を擬似的に行わなきゃいけない。でも、A君の場合は抑制剤と両立して行わないといけない。

「布団剥せる？」

「っ、む…り…」

流石に思春期男子生徒にそういう事は出来ない。だから、A君本人の意思で決めないといけないけどこれじゃあ埒が明かない。注射器に抑制剤を入れて布団の中にいるAの腕を引っ張って刺す。

「いっ…んっ」

「ごめんね。注射器の方が効きやすいんだ」

僕が服用してる抑制剤より3倍ほど濃いやつだけどあんまり効き目は無さそう。まぁ、少し様子を見よう。1人の方が楽だろうし。

「じゃあ、薬とか色々置いておくから。何かあったら呼んでね」

苦しそうに息を切らして来た時より布団が大きく動いてる。慣れるとかの問題じゃ無さそうだな。リビングのソファに寝転んでどうにかして楽にしてあげる方法はないかと考える。自慰行為はあまりしてないって聞いたし。無理にさせると体の負担があるからなぁ。これは骨が折れそうな難題かも。