近寄るな。大嫌いなんだよ。 (ページ20)

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熱い。体が熱い。クラクラと目が回る。いつものヒートより酷い。想像してたやつより酷くて自分自身かなり驚いてる。エイナさんに抑制剤の注射を打たれてあれから1時間ぐらいこの状態でしんどい。打つ前よりはましだけどしんどいのは変わらない。

「ふぅ…っ、はぁ…」

布団を退かして寝転ぶ。ヒートの期間はΩの本能である生殖行為をしたいと心から思ってる。実際今だって俺自身思ってるけど。理性と本能の攻防戦みたいな感じ。基本的に抜くのはやばい時だけだけどこれからこのヒートが続くのに毎回毎回抜くのは嫌。そういう行為は自分でもしたくない。だから薬と気合いでどうにかしてる。だってじゃないとまたΩだからって下に見られる。そんなの絶対嫌だ。あぁ、もう早く収まれよ！！！

「A君。腕貸して」

意識がしっかりしてないからエイナさんに刺してもらわないと手元が狂う。黙って腕を差し出しす。エイナさんの冷たい指が俺の熱い腕に触れて変な気分になる。唇を噛んで声が漏れないようにする。

「んっ…」

「はい、終わり。やっぱり嫌？」

「い、やです…」

「そっか。じゃあ、ご飯作ってくるから待っててね」

本当は体的にもしないといけないんだけど。俺がどうしてもやりたくない。自分の手でそういう事をするなんて考えるだけで気分が悪くなる。でも、身体は本能のままで。濡れてるのが嫌でもわかる。抑制剤がなきゃ動くこともままならないし。意識がふらふらとする。この調子じゃ倒れるのも時間の問題に過ぎない。

「しんど…」

遠分の間着ていなかった制服に腕を通す。着崩れてないか鏡で確認してエイナさんの所に向かう。

「あ、着れた？じゃあ、ちょっと魔法かけるね」

ぶわっとキラキラしたものが勢いよく風に乗って俺の体に触れる。荷物を持って外にいるカイラさんに挨拶する。

「おはようございます」

「おはよ。ちょっと失礼する」

俺の首筋に近付いて匂いを嗅ぐ。大丈夫だと言われ薬を飲む。ヒート期間は昨日の夜で終わった。2〜3回ほどぶっ倒れたけどエイナさんに助けて貰った。多分、このヒートに慣れるまでエイナさんに手助けして貰わないとダメだな。

「お前、大丈夫なの」

「平気。心配かけてごめんな」

1番最初に会わなきゃ行けないのはマレウス先輩とリリア先輩2人だけど時間的に無理だった。皆は俺が帰ってきたから好きなの買ってくれるらしい。

1番高いプリン買ってもらおっかな。