〈歌い手〉〈KZ〉月の光に照らされてＴｈｉｒｄ〈トリップ〉

ｍｏｏｎｓｔｏｒｙ ページ1

コンコン

病室のドアをノックするが、返事が無かった

...誰も居ないのかな

そうおもってドアを開くと、案の定誰も居なくて、ベッドで彼女が眠って居るだけだった


「今日はお母さんも居なかったの？」


聞いてみても返事はない

彼女はいつも道理、規則正しく寝息を立てているだけだ



...いや、いつもと違う

いつもならもっと、空気が明るいはずなのに、今日は病室の空気が冷たいような気がした



彼女もいつもより表情が硬く、怖かった

...その時


「失礼します」


そういって入ってきたのはこの子を担当している先生


僕はちょうど良いと思って聞いてみた

「あの、今日なんだか此所の空気が違うというか...彼女も表情が硬いんですけど...」


そう言うと、先生は「うーん...」と手を顎に当てて考え出した

少しして先生がこういった


「きっと、今レム睡眠なんだよ」

「レム...睡眠？」


聞き慣れない単語に困惑する


「あぁ、深い眠りのことだよ。逆に浅いときはノンレム睡眠ていうんだ。夢はノンレム睡眠の時に見るんだよ」

先生がそう説明してくれた

なるほど..じゃあ


「彼女は今、夢を見てないからこんなに？」

「そう。そういうことだ」


「今までまではノンレム睡眠だったんだけど、最近レム睡眠のことが増えてねぇ...」

先生はそう言った

え...大丈夫なの？

心配していると、それに気が付いた先生は僕に「大丈夫だ」と言った

「君だって寝るとき一回はレム睡眠なんだ。だから大丈夫。そう気にすることは無い」


そう言って先生は病室から出て行った


...本当に大丈夫なのかな


なんだか胸騒ぎがした

その76→

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