忘れた頃に白い部屋＿2【ハイキュー!!】

32.赤葦京治 ページ23

 

『跡をつけないと出られない部屋』





「……あれ」



「……あ」





多分もうこの部屋ループ説正解だと思う




気が付いて目が合ったのは、梟谷の常識人であり人たらしであると分かった赤葦京治さん

どこか気まずい雰囲気なのを察したくなかった私はなんとかこの空気を変えてやろうと紙を拾った





場を殺伐とさせるのがこの紙ですからね！！





「……赤葦さん、私多分このまま世界征服しちゃった方がいいと思うんですよ」



「うん、そっか。俺もそう思う」



「世界支配して私が頂点に立てばこの部屋は爆破してもなにしてもいいわけですから」



「思ったよりスケール大きくてびっくりしてる」





そのわりには随分とまぁ真顔貫いてますけど




世界征服のことばかりで忘れかけていた先程拾った紙には


「跡をつけないと出られない部屋」


と綴られており、「跡」とはなんぞやと思う私では出られないことに気づいたので紙を赤葦さんにまわした





「跡……？殴ればいいの？」



「…！？！？？、！？？」



「ふふ、ごめん冗談だよ」



「シャレにならん……」





わりとこういう人ほど狂ってる傾向あるからね……現代って物騒なんだから


跡、は難しい…と悩む赤葦さんを見る限り、多分何をすればいいのか見当はついているのだろう多分





赤葦さん……？

え……


殴…………？





「……跡、とか……。俺つけたことないし」



「え？いや赤葦さん跡つけるって相当なDVですからね」



「…あーーーーーー」



「エッ…なにーーー」





「なるほどね、早瀬さん」とにんまり殺人スマイルを浮かべた赤葦さんはまた黙り込んでしまう




エ？チョット早瀬チャンワカンナイ

なにがなるほどだ。なにもなるほどじゃない。なるほどってないんです私は





「まぁいっか。
早瀬さんの服、それって制服？」



「あ、はい」



「ん、そっか」





よし、と声を漏らした赤葦さんは私と距離を縮めてきた


私の頭の中で浮上して沈まない赤葦さん中の人はヤバい説がチラチラと顔を出すので思わずジリジリ後退してしまう





「なんでにげるの」



「あなたが怖いからですよ！！！」





なんのことだと先程よりも真顔を極め出した赤葦さんに対して募る恐怖は最高潮に至る




しかし事件勃発死亡案件


本能的に距離を取ろうとする私の行動は、背中にぶち当たった冷たい壁の感覚によって無意味なものにされてしまった





「…逃げないでよ早瀬さん」



 

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