ケンカ_14 ページ14
「だって! 先生が入れろって……」
「霞ヶ関に頼まれ、最初こそ拒否したが、霞ヶ関の容姿に目を奪われ入れた、と。違うか、近藤さん?」
「ギク!!」
土方さんがやれやれ、という風に首を振る。
こんなにディスられているのにまだ平然としている霞ヶ関を尊敬するよ、ほんと。
「埒があかねェ。行くぜ、A、山崎。俺たちは帰らせてもらいまさァ」
「ちょっ、待ってよ」
「沖田さん!」
総悟を追いかけ、私とザッキーは生徒指導室を出た。土方さんがなんか言ってたようだが、まァ気にしない。
「ちょっと、総悟待ってよ」
「……彼奴、ずっと付け回してくるんでィ。他の何も知らない奴らからはチャンス逃すなんてもったいない、とかなんか言われてらァ」
「沖田さん……」
「はァ、総悟ってそんなんだっけ? ミツバ姉がいなくなってから、弱くなってない?」
「そんなわけ!」
「あるんだよ。溜め込みすぎはよくないよ。ザッキーもいるし、なんでも言ってよ」
「そうですよ、沖田さん。いつでも頼ってください」
総悟が照れ隠しにうるさい野郎だ、と笑いながらザッキーを小突く。ザッキーはそれを怒らずにははっ、と笑っている。うん、それでこそ総悟だ。
「じゃあ、私たちこっちだから」
別れ道で左方向を指差す。すると、ザッキーは、あ、はい、と頭を下げ、反対側の右方向に歩いていった。
「……A、明日からお前ェと行く。だから、起きとけよ」
「はいはい」
そんなことを言いながら帰る。たまには、こういうのもありかも。
でも、私の気持ちとは裏腹に空は黒々とした雲で覆われる寸前だった。
「……じゃ、また明日」
「うん。また」
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作者名:廉火 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/Konatu0602/
作成日時:2018年4月16日 2時