30:幕開け ページ32
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「ま、アンタから呼び出されなくてもいずれこうするつもりだったけどぉ」
女子トイレに姫治さんの声が響いた。
私の方から呼び出すのは初めてだけど、別にそんなの関係ない。
『…ねぇ、一個聞きたいんだけど』
「は?何?」
『隆と姫治さんって、付き合ってるんだよね?』
これ最後に聞けば良かったかなとか思ったときにはもう遅くて。
パシンっと大きな音をたてて、彼女の小さな手が当たった。
当たったというより、当てられた。
「まさかとは思うけど、ちょっと優しくされたからってタカちゃんがまだアンタのこと好きとか思ってんの?いい加減にしろよ、気持ち悪い!」
『っ…暴力女』
思わず思ってることが口に出る。こんな子のどこが好きなのか教えてよ隆。
「てかさ、下の名前で呼ぶなってこの間モモ言ったよね?まだ彼女気取りしてんの?ほんとキモいわ」
ウザいの次はキモいですか。
『…なら、三ツ谷のことはもういいから。関わらないから。アキちゃん達に手を出すのは絶対にやめて…!』
私が言いたかったのはこれだった。
私のせいでアキちゃんに辛い思いをさせるなんて、耐えきれない。
たとえ好きな人にもう近づけなくても、アキちゃんやマイキー君を失いたくない。
「アキのこともたぶらかしてるんでしょ?"優等生の雅火さん"は欲しいものなんでも手に入れちゃってるんだねぇ?」
『手に入れるって…アキちゃんはモノじゃない。彼女は彼女の意思で私の友達になってくれた。たぶらかしてなんかない』
「ハイハイ、言い訳はどーでもいいから」
はぁ…と面倒くさそうにため息をつく。
言い訳?どこが?
上から目線の言葉にずっとイライラしてる。
「でも雅火さんのお願いは聞けないなぁ、ざーんねん」
『…は?』
「前にも言ったよね?全部を奪ってやりたいって♡」
嬉しそうに目を細めて、腰のポケットから何かを取り出した。
「絶望する顔、楽しみにしてるからぁ♡」
手に握られているのは、カッターだ。
…待て待て待て待て?本気??カッターキャーをするつもりなの!?
そんな唖然とする私のことは無視して、カチカチと刃を出し始める。
『…!やめっ…!』
「さよなら、雅火さん♡」
__次回より、第二幕
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むぎ(プロフ) - shiroさん» アキちゃんを好いてもらえて嬉しいです…!!続編では大活躍するので是非読んでもらえれば…! (2021年10月9日 8時) (レス) id: 817b6fa623 (このIDを非表示/違反報告)
shiro - アキちゃんいい子、好き! (2021年10月9日 4時) (レス) @page35 id: 2e61a566e8 (このIDを非表示/違反報告)
むぎ(プロフ) - ゆで卵?さん» すみません!!ご迷惑をお掛けしてしまいました…!!続編、投稿したので是非読んでくださると嬉しいです! (2021年10月8日 21時) (レス) id: 817b6fa623 (このIDを非表示/違反報告)
むぎ(プロフ) - マナさん» アキちゃんは味方ですよ!悪女との会話…の件はネタバレになってしまいますので… (2021年10月8日 21時) (レス) id: 817b6fa623 (このIDを非表示/違反報告)
マナ - むぎさん» アキちゃんは最後まで主人公の味方で悪女との会話を隠れて盗み聞きしてしまう……のは書きますか? (2021年10月8日 20時) (レス) id: 27a7acbc37 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:むぎ | 作成日時:2021年9月25日 0時