君たちは私を見てくれない【東卍】

●現実を見つめる者たち ページ10

マイキーside









「マイキー君！！Aさんが…！」









「……は？お前、今なんつった」







タケミっちから突然の電話だった。場地のことかと思っていたが、全然違った。




電話の向こうから聞こえる荒い息とすすり泣く声。









「マイキー君、俺…俺……！！Aさんを守れなかった……！！」









Aが、やられた。




俺らの大事な仲間が、芭流覇羅のヤツらに。









気づけば俺はバイクで走り出していた。





頭の中が上手く整理できねぇ。だがこれだけは分かる。








半間、一虎、お前らは俺を今までにないくらい怒らせた。




………お前らは、絶対に俺がこの手で殺す。









……なぁ、A。お前はまだ死なねぇよな？俺らとしたいこと沢山あるって言ってたもんな…？



俺はお前のこと信じてる。お前は…こんなとこで死ぬような奴じゃねぇって………






心の中でそう叫んでいても、悪い予感が頭を離れてくれない。









向かった先は病院。ケンチンや三ツ谷達にすぐ来るように伝えて中へ入る。









A……！頼むから…どこにも行かないでくれ…！！


これ以上ダチが東卍からいなくなるなんて俺には耐えきれねぇよ！！








「…！タケミっち！！」







「ま、マイキー君……ここっス、Aさんの病室……」








目に映るのは、閉ざされた扉と〔面会謝絶〕の文字。








「…Aさん、何とか一命は取り留めたって……でも…意識不明の重体で……」







は……？Aに、会えねぇのか……？





ペタリと床に座り込む。なんだよ、それ。会えないとか意味分かんねぇ






Aは女だ。力が倍以上違う男に殴られてどれだけ痛かったか。



なのに直接会って頭を撫でてやることすら出来ねぇのかよ。








たった1人で立ち向かっていたと、タケミっちは言った。




「……なんで守ってやらなかった！！お前は見てたんだろ…？なんで…なんでだよ！！」




グッとタケミッチの胸ぐらを掴む。タケミっちは涙をボロボロ流して頭を下げた。









「もう…俺が着いた頃には手遅れで…！！Aさんの体はボロボロで…！！なのに、なのに半間は…抵抗しなくなったAさんをまた……！！」









「…っそれ以上言うな。……もう聞きたくねぇ」









もう何も、言わないでくれ。

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