23話 ページ23
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夏油はよく、私のことを「芯が強いんだね」と褒めることがあった。正直、何を見てそう思ったのか分からないし、買いかぶられてる気がする。
でも、彼に言われて嬉しくない言葉なんてなかった。素直に言葉を返す術を持たない私は"ありがとう"なんて言えるわけもなく、曖昧な相槌を打つだけ。
そんな日々の、繰り返し。
「なー、Aも食べに行くだろ？クレープ」
『....行かない。私まだ課題終わってないの』
「傑も来るけど」
『行く』
けれど分かりやすいほどに、彼の名前に反応することが多かった。
そうして、いつか自覚するほどまでに夏油に魅了されていた。彼の、どれだけ素直になれなくても私を見離さなかった包容力が、確かに私の心を溶かしていた。
私は昔から、自分の心の声を表に出すのは苦手だった。家系が厳しく、発言が命取りになる世界で生きてきたから。それが夏油に対しては過剰になってしまっただけ。
今思えば、出会った頃から知らず知らずの内に意識していたのかもしれない。
同じ呪霊操術の持ち主。それだけで、出会う前から興味はあった。体内に取り込むとなった際の苦しみだとか、誰にも理解してもらえない呪霊の味だとか。たった一人だけ、本当の意味で分かり合える人がこの世に存在していると言う事実は、入学前から心をざわつかせた。ずっとずっと彼に会いたかった。私にも居場所ができると、そう思って。
「....文句ばかり言いながら私との任務は断ったことないよね。なに、照れ隠しか何か？」
『はぁ？やめてよ自意識過剰すぎ、勘違いも甚だしい』
全部嘘だった。どうしても、少しだけでも、一緒にいたかった。図星な自分の気持ちを隠したくて、真反対な言葉でどうにか心に封をする。嫌われるだろうという自覚はあった。それくらい酷い態度を取っていると分かっていたから、いつか口を利いてくれなくなる覚悟だけはしていた。
それでも夏油は私の隣を歩き続けていた。相変わらず優しい態度を取って、女の子扱いしてくれて。こんな性格だから散々毛嫌いされてきたのに、無愛想で無情で女に相応しくないと、呪霊を飲み込む女は穢らわしいと言われ続けた私を、ずっと。
「ねぇA、拗ねてないでこっち向いて」
「大丈夫？ほら、文句言ってないで私の手に捕まりなよ」
「ダメだよちゃんと治さなきゃ、折角可愛い顔してるのに」
『....ばか、なによ、なんなのよ....』
口癖の罵倒は、いつしか愛情の裏返しになっていた。
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むぎ(プロフ) - カナさん» 素敵なお言葉、大変嬉しいです!!!!☺️私も二人の幸せを願ってやみません、どうか一緒に最後まで見守っていただけると幸いです。 (1月29日 23時) (
レス) id: 1e000180a9 (このIDを非表示/違反報告)
カナ - 切なすぎて最後がくるのが待ち遠しい反面悲話にならないで欲しいとただひたすらに願っています。それくらいこのお話が大好きです。 (1月28日 21時) (レス) @page41 id: cd1392beae (このIDを非表示/違反報告)
むぎ(プロフ) - りんごさん» 嬉しいです!!!ありがとうございます🙌💗 (11月9日 1時) (レス) id: 3893744af8 (このIDを非表示/違反報告)
りんご - 引き込まれました、凄く好きなお話です！ (11月7日 0時) (レス) @page26 id: 96e8a3b79d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：むぎ
| 作成日時：2023年10月20日 18時
