03:お帰りなさってください ページ4
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どうやら純粋にメイドカフェを楽しむ為ではなく、ただただ私の姿を見るためだけに来たらしい。アホですか?
めんどうだからもういい、なんて言っていた昨日の兄はどこに行ったんだ。
入口でたむろするのはあまりに邪魔なので、そこまで人通りの多くない表へと出た。頭から爪先まで観察してくるご友人の視線が痛い。
『あ、あのなんで今日も』
「凪が、妹まがいが見てぇっつうから」
『まがいどころの話じゃないですけどねすみません....』
なんで謝ってるかも分からずに、めちゃくちゃ目を見開いて私を見てくる玲王さんから目を逸らした。
兄はと言うと横で欠伸をする始末。なんなんだこの状況。
「珍しい人種の女がいるって聞いたから来てみたが、なんなんだここは異世界かなんかか?」
『現実逃避大好き人間が集まる店ということは間違いないですけどね』
そんな会話を兄抜きで進める。
早く持ち場に戻らなくてはいけないのだから、要件が済んだなら解放してほしいところ。
けれど兄のマイペースからは逃げられない。
玲王さんの肩に顎を置き、私を映さない瞳をこちらへ向けていた。
「レオばっか喋ってんのずるい」
『....家でも元々話さないじゃない』
そう言い返すと眉間にシワがよっていく。なんか拗ねている模様。
私もう戻りますね、と無理やり突破しようと一歩下がったが面倒くさがり屋の兄は逃がしてくれなかった。
「....いや、わりとカワイイ。ありよりのあり」
『は....バ、バカじゃないの!?』
照れる理由が目の前にありすぎて即座に耳が熱く発火する。
通行人もまばらいて、更には兄の友人の前で、メイド姿の妹に可愛いなんていうこのどアホ兄を誰かどついてくれ。
『もう戻りますから!!』
そう叫んで、2人には目もくれずに店内に逃げ込んだ。心臓はうるさく耳は熱い。
店内の自販機で水を買い、頬に当てた。
『....家帰りたくねぇ....』
....いっそ誰か泊めてください。
貴方の家をメイドカフェに変貌させる自信ならあります。プライドはありません。
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咲夜(さくや)(プロフ) - 続き楽しみにしています。 (10月5日 21時) (レス) id: f2b60f62ba (このIDを非表示/違反報告)
シア(プロフ) - 最新待ってます‼︎ (8月29日 19時) (レス) id: 38b8a932a2 (このIDを非表示/違反報告)
やせいのあまは - 深夜に声出して笑っちゃうくらい面白かったです!!こういう作品に飢えてるので嬉しかったです!! (2023年5月7日 0時) (レス) @page6 id: a903526445 (このIDを非表示/違反報告)
ムー - 面白すぎます!凪とかレオの反応場違いすぎて好きです!これから夢主ちゃんとどうなっていくのか楽しみです!更新頑張って下さい! (2023年4月8日 7時) (レス) id: c4f896039b (このIDを非表示/違反報告)
琉菜(プロフ) - 好き過ぎる!面白かったです!更新楽しみにしてます♡ (2023年4月2日 5時) (レス) @page2 id: c9934e301b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:むぎ | 作成日時:2023年4月1日 21時