02:でんわとめいし。 ページ2
.
玄関は狭いので、リビングまで入れてあげた。
おかたづけしておいてよかった。
冷たいお茶を用意して、お話したりおもちゃであそんだりする。
『さとるって、どういう字？』
「漢字のこと言ってんのか？紙かなんか書くもん貸せ」
さとるくんに言われた通りに、お母さんが買ってきてくれたらくがきノートを1枚やぶって持っていく。
ボールペンをわたすと、さとるくんは"悟"という字をおっきく書いてくれた。
『イケメンは字もイケメンなんですね』
「お前お世辞とか上手いタイプ？ガキに絆されそうになってる自分がいるんだけど」
褒めたつもりはなかったけど、なんだかうれしそうだからよしとする。
悟くんは頭をなでなでするくせがあるみたいで、なにかあるたびにわたしの頭に手を伸ばしていた。
「母親は何時に帰ってくんの？」
『お母さんはわたしがおきてるときに帰ってくることは少ないです。だからわかんない』
「....あっそ」
頭からするりと悟くんのおててが落ちる。
と思ったらわたしのほっぺをつねって、その後にイケメンなお顔をぐっと近づけた。
「A....っつたよな。自分専用の携帯は持ってんの？」
『ふぃるたりんぐ？っていうのがかかってるやつなら』
「つまり通話機能は使えるんだな。それ貸してくんね？」
お願いされちゃしかたないと、ポケットにずっと入れていた小さいでんわを悟くんにわたす。
するとなれたように指をすごい動かして、すぐにわたしに返してくれた。
なにが変わったか分かんないって言ったら、悟くんは
「俺の電話番号追加してやった。この登録してある番号で呼んでくれたら、お前には特別価格でレンタルされてやるから」
そう言ってまたわたしの頭をなでた。
これってえいぎょーぼうがいっていうやつじゃないのかなって思ったけど、多分違うみたい。
よく分からないけど、あそびたいときにでんわをかけたら来てくれるってこと、だと思う。
そのあと、小さなおさいふみたいなものから黒いかみきれをわたしにくれた。
『めいし.....わたしのはないんですけど、お母さんがもらってきたキラキラのやつならたくさんあります』
「気まずくなるから持ってくんな」
気づくともうごはんを食べる時間になっていたから、悟くんとはじこしょーかいと、すこしだけあそんでお別れをした。
今日も、お母さんがねるまでに帰ってくることはなかった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 757人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
暁月臨(プロフ) - 最高すぎます、、、、！！更新頑張って下さい！応援してます！！！ (8月18日 3時) (
レス) @page21 id: 59dc159e7e (このIDを非表示/違反報告)
くま - めちゃくちゃ好き過ぎます。更新待ってます (7月30日 20時) (レス) @page19 id: 7f92ff71c6 (このIDを非表示/違反報告)
匿名さん - ひらがなオンリーじゃなくて、漢字も使ってるのに、小さい子供っていうことが伝わってくるの、読みやすいのに、感情も伝わってきて、本当にすごいですね！何度も読み返しちゃうくらい好きです！これからも頑張ってください！応援してます！ (7月30日 1時) (レス) @page19 id: bca78c906d (このIDを非表示/違反報告)
来世 - 大好きです！ (7月18日 15時) (レス) id: 23ef5c5b40 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき - は………？何これ好きすぎるんだが！？どうしてくれるんですか！神すぎるうう！（うるさい） (7月5日 0時) (レス) @page18 id: a3aa2404cd (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：むぎ
| 作成日時：2023年3月28日 17時
