07:指が触れる ページ7
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出待ちと言ってもただ先輩達の教室の前で待つだけなのだけど、流石に一人は心細くて
「なんかこうやって待ってるとドキドキするよね!」
と、にこにこと笑う灰原を連れてきていた。彼が夏油先輩に用があるなら丁度よかった。
少し会話をしてひと息ついていると、床が軋む音が耳に届いた。目をやると何かを話している先輩方3人の姿。心臓の鼓動が明らかに早くなっていた。
灰原も気づいたようで、私が口を挟む間もなく夏油先輩の元へと飛んでいく。3人の足は止まり、それと同時に五条先輩の目がこちらを向いた。
あの、と声を漏らす前に気づけば先輩は目の前にまで来ていて、
「...A、俺のこと待っててくれたの?」
私の頬に手を当て、2日前と似た笑みを浮かべた。
先輩の少しだけゴツゴツとした指が直に触れて、自分でも分かるほどに顔が熱くなっていく。
そのせいか、またまともに話せなくなり先輩からの問いかけにも答えられない。
同じことの繰り返しじゃないか、と自分を叱りつけても、語彙は「あの」と「えっと」くらいしか残されていない。
「大丈夫?そんなに焦って...こんなに顔熱くなってるけど」
『...わ、分かって、やってますよね』
「うん、勿論」
何処か嬉しそうに微笑み、先輩の指は私の髪へと絡まっていく。 急に素直なところも心臓に悪い。
でも先輩は短髪が好きなんだよな、と思いながらも今度は私から声をかけた。
『私、先日のこと謝りたくて...』
「あぁ、逃げちゃったやつ?気にしてないから」
謝らなくていい、といつもの軽い感じで返ってくる。でも念の為誤解は解いた方がいいよな、と悩んでいると、
「あ、それと。あの意味ずっと分かんないだよね。恥ずかしがっての言葉だったのか、違うってことでの言葉だったのか。ずっと気になってんの」
そこをピンポイントで押さえられた。また誤解や疑問を抱かせないように心を落ち着かせながら声を出す。
『あれは、恥ずかしがっての言葉で...むしろ会いたかったというか、お礼を言いたいと思っていたら急に先輩が現れて、それで...』
最後の方は小さくなってしまって、目線を下へ向ける。これを言うのでさえも恥ずかしかった。
少し沈黙が続き、恐る恐る先輩を見るといつの間にか耳が赤く染まっていて
「うん、そっか、俺嫌われてないってことだよね。なら、
ちょっと積極的になってもいっか」
そんな小さな声が、脳に流れ込んできた。
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RURI(プロフ) - むぎさん» あれはもう沼です( ˙-˙ )✧ちなみに私の推しは棘くんです(謎情報) (2022年1月24日 20時) (レス) id: 8724428549 (このIDを非表示/違反報告)
むぎ(プロフ) - RURIさん» RURIちゃんありがとう♡なるほど同士なんだね…!!映画はもうあれ沼だよね(?) (2022年1月24日 18時) (レス) id: 20f0e797ef (このIDを非表示/違反報告)
むぎ(プロフ) - ゆたさん» ゆたちありがとう…!!私なりのやり方で一生懸命書いてみた〜♡楽しんで貰えたなら嬉しいな…! (2022年1月24日 18時) (レス) id: 20f0e797ef (このIDを非表示/違反報告)
RURI(プロフ) - むぎちゃんのじゅじゅ楽しみー!私も映画見に行ってハマってしまったから気持ちわかる! (2022年1月10日 20時) (レス) @page3 id: 8724428549 (このIDを非表示/違反報告)
ゆた(プロフ) - わあん、むぎたんのじゅじゅ…!楽しみすぎる♡ (2022年1月10日 20時) (レス) @page3 id: acb47aa965 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:むぎ | 作成日時:2022年1月10日 20時