乗っ取りません：２２ ページ22
パチパチと炎の燃える音が聞こえる。
数十センチほど開いた障子の隙間から中を覗くと、対峙する男女の姿。
若草色の髪が最奥の炎に照らされ、色が混ざり合っていた。
鶯丸は重い影をさした表情にも関わらず、見習いはたっぷりと引いた紅で弧を描いている。
対象的な雰囲気を醸し出す二人を、心穏やかには見れそうにない。
ゆのい 「本当にいいのね？」
鶯丸 「あぁ。もう好きにしてくれ」
引き締めた唇をゆるりと解き、どこか諦めたように微笑む鶯丸。
あれが演技がどうかは別として、ゆのいの刀解する気を掻き立てるのには充分だった。
ゆのい 「まさか、自分から言いに来るなんてね」
鶯丸 「自ら宣告したかったか？」
ゆのい 「べつに。むしろ手間が省けて助かったわ」
ソプラノの声が紡ぐ言葉に、危うく障子をはっ倒しそうになる。
どこまでぞんざいな扱いをしたら気が済むのだろう。
底無しの自己中心性が痛いくらいに伝わってきて、行き場のない怒りがじわじわと身体中へと滲み渡る。
鶯丸が光が消えた瞳を細めたことに、ゆのいは全く気付いていない。
ゆのい 「安心していいわ、もうすぐ仲間も貴方の後に続くから」
鶯丸 「そう焦らせる必要はないさ」
ゆのい 「それを決めるのは貴方じゃないわ」
鶯丸 「そうか」
最後ですら愛情の欠片もない。
今までどのようにゆのいが刀剣男士に接していたのか、垣間見えたような気がした。
ゆのい 「ほら、刀、貸しなさい」
ゆのいが手を差し出した。
鶯丸はその声に大人しく従う。腰から、ゆっくりと自身の刀をゆのいの手に乗せる。
ゆのいが、にんまりと笑った。
それを見た私の手の中で、ピコンッと軽快な音が鳴る。
確認するように視線を落とすと、そこはしっかりと映し出された男女二人。
画面越しの二人の表情は、やっぱり対照的だった。
(*´･ω･`)ｏ０○(イメイラ…11/12追加させていただきました！→←乗っ取りません：２１
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1898人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「刀剣乱舞」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
藍(プロフ) - 面白いです。更新待ってます😊 (2022年12月8日 8時) (
レス) @page22 id: efa571101a (このIDを非表示/違反報告)
アラバ - とても面白いです！！応援しています！！ (2022年9月6日 14時) (レス) @page23 id: 7b928464a0 (このIDを非表示/違反報告)
まと(プロフ) - 面白いです！更新待ってます！頑張ってください！ (2019年8月9日 19時) (レス) id: 0ae277004f (このIDを非表示/違反報告)
キリンの妖精、キリンロング - 更新待ってまーす！m(_ _)m (2019年5月25日 22時) (レス) id: 390c1ef0c5 (このIDを非表示/違反報告)
らんじぇ(プロフ) - ゆめぴーなっつさん» 返信遅くなり大変申し訳ございません！ありがとうございます！刀剣男士だけでなく、審神者ズたちもお褒めいただき、ものっすごく嬉しいです((o(*>ω<*)o))コメント、心より感謝いたします！ (2017年7月28日 13時) (レス) id: 46a2904721 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：らんじぇ
| 作成日時：2016年11月7日 12時
