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「本当に此処であってんの?」
「そんな俺信用できない?」
「出来ないね、全く。ねぇ君早く呼んでみてよ」
神威の案内の元、私達は日輪が閉じ込められていると言う部屋の扉の前までつれてこられた。
「母ちゃん…」
「帰りな」
ガキが扉に触れようとした時微かに女の声が聞こえた
本当に此処にはジジイを腑抜けにした女がいるのか。一体どうやって…いや、別にジジイの事興味はないんだけどね。まじだよマジ!
「此処にはアンタの求めるモノなんてありゃしないよ」
「母ちゃんなんだよな!開けてくれ!アンタの息子晴太だよ!」
「私に息子なんていないよ、アンタみたいな汚いガキしりゃしない」
「…なんでオイラが汚いって知ってんだよ!本当はずっと見てたんだろ?何度も叫びそうになる声を抑えて!何も知らなかった…母ちゃんが俺の為に閉じ込められてるのも、ずっとオイラも守ってくれたのも。何も知らずずっとオイラは母ちゃんのせいにしてたんだ…だから今度はオイラが母ちゃんを此処から連れ出す。オイラが母ちゃんを守る!」
いやはや地球人ってのは甘い生き物だな。
これが親子愛ってやつ?そんなのただの空想だ
「とんだ茶番だな付き合ってられない」
「待てよA、まさか逃げるの?」
「あ?今なんて言った神威」
「逃げるの?弱虫って言ったんだよ」
「テッメェ…」
ガキが扉に体当たりしているがどうでもいい。今日の私は虫の居所が悪いんだ。神威の挑発にさえ本気で怒りを覚える
「やめとくれ…アンタの母ちゃんなんて此処にはいない」
「母ちゃん…」
「そんなに会いたくば合わせてやろう」
あれこの声は…チッ一番ムカつく奴まできやがったか…
「A、まさか貴様も此処に来るとは…母親でも恋しくなったか」
「いいや…強いて言えば一応血が繋がったジジイがこんな茶葉1つ止められなかった事が恥ずかしいよ」
「フン、止める?何も最初からそんな事必要あるまい。童の母親などとうの昔に死んでおるわ」
「は?」
ガキの前には人束の髪が放り投げられた。
「吉原の花形である花魁が誰にも露見する事なく子を産むなどできる訳があるまい…童、お前の母親は俺を産み落とすと同時に死んだ。そこにいるのは母親に憧れ、母親になることを叶わない。母親ごっこに興ずる哀れな女だ」
「…アンタが命はって守るほどの女じゃないんだ私は」
ああ、可哀想に。コイツはなんの繋がりもない女の為に命を捨てにきたって事か。そりゃジジイも御満悦になる訳だ
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作者 - 実珠さん» 温かいコメントありがとう御座います!暫くの間配信出来ず遅くなりすいません!続編も書き続ける予定なので宜しければお暇な時にでも、見てください!!頑張ります (2022年1月26日 1時) (レス) id: 3ce7835c84 (このIDを非表示/違反報告)
実珠(プロフ) - めっちゃくちゃ面白いです!夢主が作品に馴染んでて可愛いし……スラスラ読めました!!!最高です……!神威かっこよ……これからも更新応援してます!頑張ってください!!! (2022年1月23日 9時) (レス) @page48 id: 2209f9ef43 (このIDを非表示/違反報告)
作者 - たこ足配線さん» ありがとうございます!!配信遅くなりすいません!頑張ります (2022年1月15日 0時) (レス) id: 3ce7835c84 (このIDを非表示/違反報告)
たこ足配線(プロフ) - めちゃくちゃ面白かったです!!続き楽しみにしてます!✨ (2022年1月13日 3時) (レス) @page45 id: a502f56163 (このIDを非表示/違反報告)
作者 - サブリオさん» 素敵なコメントありがとうございます!!頑張ります! (2022年1月5日 1時) (レス) id: 3ce7835c84 (このIDを非表示/違反報告)
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作成日時:2021年11月28日 2時