Eighty Nine “Unglück” 復讐鬼side ページ19
復讐鬼side
その日は、城の広場で兵士にAが幹部になったことを知らせる集会があった。
グ「_ので、これからも鍛錬に励んでいくように。」
グルちゃん特有の少し長めの挨拶が終わった後、切り替わったように、顔に少しの笑みを浮かべて本題の方を話し始めた。
グ「さて…今日から此処の幹部になることになった奴がいる。」
グルちゃんが自分の右後ろにいるAに目配せした後、その目配せを受け取ったAが五歩くらい歩みを進めて、グルちゃんの横に並んだ。
スタンドマイク式のはそのままにして、グルちゃんがまた口を開く。
グ「Aだ!どの役職につくかはまだ検討中だが、正式に幹部になる!…フードで分からないだろうが、性別は女だ。宜しくしてやってくれ!」
Aが深く一礼をして、グルちゃんが説明を続けていく中、広場の中心からは静寂が流れ込んでいた。
女、という辺りから明らかに空気感が違うのを俺は感じ取った。元々始まる前から全員静かだったが、広場にいる兵士の羨望と嫉妬の視線が当事者であるAに注がれていた。
そんな大勢からの視線にも、Aは臆することなく総統であるグルちゃんの話を聞いている辺り、流石だなと思った。
「…(一体何者なんだか…)」
ちなみに俺だけじゃなく、幹部全員が集会に参加していた。総統と書記長と外交官であるグルちゃんとトンちゃんとマンちゃんは前に出て、それ以外の幹部は横一列という定位置を陣取っていた。(Aは今回一番端っこにいた。)
グ「_それでは、今回の集会は終わりだ!各自、持ち場に戻るように!」
兵「「「「Heil・Gruppen!!」」」」
お決まりの忠誠の言葉が聞けて、グルちゃんは満足したように兵士達に背を向けて、俺たち幹部がいる方へ歩いてきた。
コ「お!終わったん?」
ショ「あんた途中から寝てたでしょ…」
ゾ「相変わらずつまんないねんなぁ…もっと面白いことはないん?」
ロ「集会なんてそんなもんちゃう?」
気の抜けたように、砕けた口調でいつも通りの会話をし始める皆。
ワイワイガヤガヤとし始めたのは、俺たちだけではなく、兵士達も同じだった。
その中で聞こえてきた言葉が、俺たちを神妙な顔にさせるには十分すぎるくらいの威力を持っていた。
_女の癖に_
グ「……」
ト「……」
「……」
分かっていた。分かっていたが、やはり何処かAを不憫と思ってしまった。
Unglück 不憫
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SAKURA(プロフ) - KZファンさん» 励ましのお言葉有難う御座います!!受験生辛たん…。 (2018年12月31日 12時) (レス) id: 93ee48c149 (このIDを非表示/違反報告)
KZファン - こんにちは!受験生なのに大変ですね?私もついつい、毎日、見に来てしまいます。頑張ってください。 (2018年12月31日 12時) (レス) id: 7d84edeee2 (このIDを非表示/違反報告)
SAKURA(プロフ) - ゼロさん» お互い大変ですね…^_^;更新も受験も頑張ります!ゼロさんも受験頑張ってください! (2018年12月24日 20時) (レス) id: 93ee48c149 (このIDを非表示/違反報告)
ゼロ - 受験大変ですね。実は私も今年受験なんです。それでもつい毎日この小説チェックしてしまいます(>_<) これからも頑張ってください! (2018年12月24日 19時) (レス) id: 3abbab8517 (このIDを非表示/違反報告)
SAKURA(プロフ) - 夏目さん» あ、ありがとうございますぅ…(´;ω;`)これからも宜しくお願い致します^_^ (2018年12月24日 16時) (レス) id: 93ee48c149 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:SAKURA | 作成日時:2018年11月29日 3時