第32話 If the end is good everything is fine ページ32
トレイさんの言葉にケイトさんは少し混乱する。
甘いものが苦手ってことを誰にも話したことがないそうだ。
「『ドゥードゥル・スート』を話のネタにするフリでよくケーキの味を変えさせるだろう？ 全然顔には出さないけど、もしかしたら甘いものが嫌いなのかなとずっと思ってた」
「あ〜……バレてたんだ？うわ、はっず……」
少し恥ずかしげなケイトさんだけど、トレイさんの言葉に一言云う。
「トレイくん、リドルくんの件もそうだけど、その『思ってたけど言わない』っての良くないと思うな〜オレ」
「次の『なんでもない日』はキッシュも焼いてやるからな」
「そりゃどーも。……ケーキ並にフォトジェニックなやつにしてね」
そこに近くで聞き覚えのある声が流れてきた。
「ふんふふーん♪トレイのお菓子はいつ食べても絶品だにゃあ〜」
「チェーニャ！ なんでここに!?」
「ん？『なんでもない日』だからお祝いに来ただけさ。おめでとう、リドル」
「『なんでもない日』はハーツラビュル寮の伝統行事だ。キミには関係ないだろう？」
「それはそっちの人達も同じじゃにゃーの」
そんな二人のやり取りでA達もチェーニャを発見する。
「オマエ！ こないだ会ったにゃあにゃあしゃべる奴！ そういえば、結局オマエはどこの寮なんだゾ？」
グリムの疑問にトレイが答える。
「そもそもチェーニャはうちの学園の生徒じゃない。ナイトレイブンカレッジの長年のライバル学校───ロイヤルソードアカデミーの生徒だ」
「えぇっ!! 違う学校の生徒!?」
「しかもロイヤルソードアカデミー!?」
「へぇ、他にも魔法学校があるんですね」
「なんかすごく格好いい名前だな!?」
その直後、ロイヤルソードアカデミーの生徒がいると聞いて、急に寮生達は殺気だった。
話によるとナイトレイブンカレッジの生徒は高確率でロイヤルソードアカデミーを敵視しているらしい。
「100年も負け続ければ そうなると言うか……」
「まーま！お祝いの日にそんな暗い話ハシナシ！ 今日は『なんでもない日』のパーティーを楽しもうよ」
ケイトの言葉にグリムは近くにあるものを使って料理の並べられたテーブルへと飛び乗る。
「にゃっはー！ 腹がはち切れるまでごちそうを食ってやるのだー！『なんでもない日』バンザーイ！」
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作者名：泡沫の猫 | 作成日時：2020年4月6日 9時
