清き月の華〖ハートの女王〗 (ページ17)

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第17話まさかのハプニングページ17

目を開けると何時からか、私は涙を流していた。

その涙の意味はわからない。

だけど…

(大切な何かを…忘れている気がする……)

涙を拭いながらそう思った。

少し早めにハーツラビュル寮に向かうとケイトさんが四人いた。

その光景に唖然としていると、体操着を着たケイトさんが来て、ユニーク魔法スプリット・カードで自分の分身を作ったのだと教えてくれた。

ユウ達が来る間、私は(体操着の)ケイトさんと薔薇を赤く塗り、後から来たユウ達も一緒に全ての薔薇を塗った。

パーティー会場に向かうと

「我らがリーダー！赤き支配者！リドル寮長のおなーりー！」

その言葉と共にリドルさんが現れ、欠けているものはないか厳しくチェックしていた。
ケイトさんにより、私達はハーツラビュル寮の寮服に身を包んだ。
グリムのリボンもこの寮らしい柄になっていた。

紅茶の乾杯が行われた直後エースがリドルさんに近づく。

エースはリドルさんからタルト泥棒呼ばわりされたが、持っていた箱を見せる。

「えーっと、タルトを食べちゃったことを謝りたいと思って。新しいタルトを焼いてきたんですけど」

「ふぅん？一応聞くけど、何のタルトを？」

「よくぞ聞いてくれました！旬の栗をたっぷり使ったマロンタルトです！」

その瞬間、リドルは信じられないものを見たと言わんばかりに、目を見開いた。

その反応を見てエースさんも「ええっ？」と驚く。

「ハートの女王の法律・第562条

［『なんでもない日』のパーティーにマロンタルトを持ち込むべからず］

これは重大な法律(ルール)違反だ！何てことをしてくれたんだ!? 完璧な『なんでもない日』が台無しじゃないか！」

「第562条!?」

「全部で何条まであるんですか!?」

「てか、全部覚えてるの!?」

「全810条。ボクは全て頭に入ってるよ。寮長なんだから当然だろう」

「あちゃー、こりゃヤバイ。……トレイくん、知ってた？」

「俺が暗記出来てたのは第350条までだ。
完全に油断してた。タルトの種類までルールがあるなんて……」

そう言ってトレイは頭を抱えた。