恋じゃない…… * Kento.N

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your side









『ただいま………………』









自分でも気づかないうちに

だいぶな時が過ぎてしまったみたいで……

恐る恐る玄関の扉を開ける。









即、やばいって思った。









だって、電気が一切ついてないんだもん。









『風磨………………？』









できるだけ音を立てないよう歩き、

微かに聞こえる彼の音をたぐり寄せる。









見つけたところはベッドの上。

大きな身体が寂しそうに小さく丸まっていた。









《A………………？》









顔を上げたその顔こそは見えないものの、

声が少し震えていた。









『ただいま、遅くなってごめんね？』









月明かりでうっすら見えた泣き顔に

そっと手を伸ばして優しく触れれば

その腕を掴まれて彼と同じベッドに引きずり込まれる。









《遅い、ばか………………》









痛く、苦しいほどきつく抱きしめられて

一気に風磨の香りに染められる。









『んっ………………っはぁ……』









いつもと違って少ししょっぱいキスに夢中で、

知らないうちに視界が逆転していた。









《あいつの匂いがする……》









そう言ってまたぎゅうぎゅう締め付けてきた。









『風磨の匂い、つける……？』

《…………………………うん。》









匂いをつける、の意味を一瞬で理解してくれて









『んっ…………………………』









どんどん、どんどん……







髪、頭、首、胸、腕、指先、お腹、脚、つま先………









あらゆるところに軽く触れるだけのキスをする。









『んっ…………んぁっ……………………』









激しく荒らされる口内。

だけど優しく身体を触って私の存在を確認する。









いつにも増して風磨の気持ちが痛いほど伝わってくる。









『あっ、ふまっ…………………………!!』









それに私も必死で追いつこうとして、応えるんだけど









それでも、なぜか頭のどこかに中島くんがいて

すごく胸が締め付けられるんだ。









《Aっ………………………………!!》









ごめんね、風磨……









今は、その気持ちに100%答えることが出来ない………









ごめんね、ごめんね……………………









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