依存相手に選ばれました.8【紫】

399.短編4 ページ49

Aちゃん入院中のななもりside

暗い家に帰ってくるのはこれで何日目だろうか…

猫は電気をつけておく必要も無いため、必然的に真っ暗な部屋に帰ってくることになる


紫「ただいまぁ」


そう言って部屋に入ると、猫ちゃんたちが出迎えてくれる

そこにAの姿がないこの状況は何日経験しても慣れない

数ヶ月前まで当たり前だったのに、そんな生活は忘れてしまったみたいだ


冷凍庫のAが作り置きしてくれてたおかずとレトルトのご飯を温めて食べる

1人の食卓は本当に寂しい


さすがに大人のAの入院に付き添うことは許される訳もなく寂しい一人暮らしをしている

Aの存在がいかに大きかったかを入院してから思い知らされる


ポ「にゃぁ」


足にすり寄ってきたポムちゃんを抱き上げて


紫「早く帰ってくるといいね」


と1人飼い猫に話しかける


紫「今日、抜糸したからあと、2・3日だって
長いなぁ…」


同じ照明

同じ室内温度


なのに、Aが居ないだけで部屋は薄暗いし、寒い


しばらくポムちゃんを抱きしめてぼーっとしていたけど、仕事もあるし、倒れない程度の生活もしなきゃならない

Aが退院したと共に俺が倒れて入院なんてことになってはならない


紫「配信…は無理かぁ」


既に12時を超えた時計を確認して、俺はスマホを片手にお風呂に入った

Aとお風呂に入るようになってからは持ち込まなくなったんだけど…

エゴサで寂しい気持ちを埋めて、仕事に向かう力を貰ってお風呂を出た


服きたり、髪を乾かしたりしてからパソコンの前に座るとスマホが通知を受け取った


【仕事中？
ご飯食べた？
ちゃんと休んでる？】


俺を心配するLINEがAから送られてきた


紫【ご飯食べたよ
Aの作り置きそろそろ無くなりそう】

【いっぱい食べて！
全部食べていいからね！】

紫【ありがとう
Aはそろそろ寝るの？】

【うん
消灯時間すぎてるからね】

紫【そういえばそうだよね？
なんで起きてるの？】

【寝れなくて…
早くなーくんと一緒に寝たい】

紫【俺も】

【早く退院できるように頑張るね！】

紫【うん
そろそろ寝な？】

【なーくんもね
おやすみ】

紫【好きだよ
おやすみ】

【私も好き】


たったこれだけのLINE

だけど、入院中なのに気にかけてくれてることが嬉しくて満たされていく感じがした


紫「よし！」


俺はAが退院する日に1日休めるように仕事に向き合うことにした

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