依存相手に選ばれました.8【紫】

394 ページ44

事件から3日後

私となーくんがいる病室に警察が尋ねてきて、事件の概要を教えてくれた


警「彼は引きこもりでした」


その一言で私となーくんはびっくりしてしまった

だって、よくスーパーにいたから引きこもりなんて思いもしなかった


警「母親が買い物に行くのに財布を忘れて、届けに行った時に初めてAさんを見つけたらしいです」


それが初めて話し掛けてくれたあの日

さとみくんと買い物に行って、ぶつかられてカゴを落とした日だ


警「優しすぎるを理由にいじめを受け、引きこもりになったみたいですね
また、彼が優しくするのは当然という周囲の反応から『ありがとう』という感謝の言葉もなくなったため、Aさんの言ったありがとうという一言で惹かれたみたいです」


と、そんな理由で私のストーカーを始めたらしい

ただ、結婚してることを知り、諦めようとした矢先、彼は思いがけない噂を耳にしたらしい


警「その噂って言うのが、会社を経営している旦那さんがAさんを使って枕営業しているというものでした」

「そんなこと！」

警「わかってます
申し訳ありませんが裏取りさせて頂きました」

紫「なんでそんな噂が…」

警「私達も出処は分からないのですが、旦那様以外と買い物に行かれる機会が多かったのが広がる原因だったみたいです
でも、Aさんが仲良くなさっていた方たちは信じてなかったようで、むしろ噂を否定してたみたいですよ」


その一言でちょっと泣きそうになった

噂を信じる人もいれば、嘘だと否定し庇ってくれる人もいる


警「彼自身も初めは信用してなかったみたいですが、旦那様以外の男性と買い物に来る回数が多いことやその人と旦那様が顔見知りな所から噂を信じるようになったみたいです」

紫「Aを1人にしないようにみんなに付き添いを頼んだのは逆効果だったね…ごめん」

「なーくんのせいじゃないよ」

警「噂や最近の疲れた様子、最初に助けたこと、Aさんを好きな気持ちなど、それら全てが今回の犯行を起こさせた要因だと思われます
自分が守ってあげなくてはいけない、というのはストーカーにはよくある思考です」

「そうですか」


他にも色々と話を聞かせてくれて、柊さんは捕まる覚悟で今回の事件を起こしたらしい

騎士は自分を犠牲にしても大切なものを守るものなのだと言っていたらしい

これ自体は知り合いの受け売りなのだとか…

395.事件前後を短編集風に→←393

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す