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『おはよーございます首領』
「…ん、A」
首領の部屋にノックしたものの返事が返ってこなかったため、ゆっくりと静かにドアを開ける。
カーテンが全て閉まっており、太陽の光が遮断されていた。まるで夜中みたい。
カーテンを思いっきり開けたら首領は起きた。
目を擦ってぼーっとしている首領に挨拶したが、おはようの挨拶はハグに変換されてしまった。
可愛いけど苦しいです首領。
「……護衛、A？」
『首領が私にしたんでしょ？』
「…そうだった」
眠い、と呟いて頭をぐりぐり押し付ける首領の姿はまるで小さな子供のよう。
か、かわいい。かわいいの言葉以外で表せない。
ものすごくかわいい。
けどこんな事言ったら間違いなくスクラップ確定なので声には出さなかった。
誰にスクラップされるかは皆さんのお察しの通りです。
言わずもがなですね。
こんなかわいい首領だが、今でも黒いオーラは彼の周りに纏わりついている。
今はあまり体調に影響はないけれど…。
果たして今日一日保つことは出来るのだろうか。
とか考えていたけれど「ねえA起こして」と首をあざとく傾げる首領を見てもう何もかもどうでも良くなった。
少し遅めの朝食を首領に振る舞い、今は食器の片付け中。
首領はテレビのニュースをただぼーっと眺めている…かと思ったけれどいつの間にか私の背後にいた。
「ねえA」
『はい、なんですか』
腰に手を回して妖艶に囁く首領に私は察した。
「おでかけしt」
『今日は此処でお休みしてましょうね首領』
首領の誘惑に勘づいた私はおねだりされる前に止めることが出来た。
が、首領は私の肩に顔を乗っけて再び誘惑しようとする。
「おれ、Aと出かけたい」
『ゔっ…。だ、だめです。春に怒られちゃいます』
「春千夜なんて俺が何とかする」
だからお願い、と裏社会のトップが出す声だとは思えないほどの猫撫で声で誘惑する。
だめ。耐えるんだ私。
フライパンのとって部分をこれでもかと言うほど強く握った。
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