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Aの朝は早い。
午前四時。自然と彼女の瞼が開き、隣で寝ている彼。三途春千夜を起こさないようゆっくりとベットから出る。
それから顔を洗ってからキッチンへ向かう。
今日の朝ご飯は何にしようかAは考え込む。
考え込んだ末、食パン、卵、ベーコンが台所に出された。どうやら今日の朝ご飯はベーコンエッグトーストに決めたらしい。
チンとベルの音が聞こえる。その音と同時に大きなあくびをしてリビングに現れた三途をAは座らせた。
現在時刻は午前四時十五分。
『いただきます』
「…っす」
こくりと少しお辞儀をして三途はAの作ったベーコンエッグトーストを口に入れた。
気を緩める事があまり出来ない生活を日々送っているためか、こういったごく普通の一般的な生活を過ごすことがあまりない。
だけど、朝だけは仕事で片方がいない日以外は一緒に食べようという三途の提案により朝の食事は共にするルールができたのだ。
特に会話もなく、淡々と進む食事。
パンのザクザク音と時々挟むスープをゴクゴク飲む音がクセになる。
そんな時間がAは大好きだ。
「ごちそうさん」
『ご馳走様でした』
そして食後の挨拶も欠かさず行い、お互い使った食器を流し台に置いた。
「オイ、もう行く準備出来てんか?」
『うん。いつでも平気だよ』
かけられたスーツをかっこよく着こなす三途を見てAはコクリと頷いた。
「行くぞ」とAに声をかけた三途は玄関のドアを思いっきり開けた。
Aが玄関に来たのを確認し、ドアを優しく閉める。
外へ出ると丁度日の出の時間で、雲の隙間から暖かい光が差し込んでいる。
今日も良い日になりますように。
三途の背中を見つめながらそう願うAだった。
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