10*俺の『妹』 ページ11
瀬名 泉視点
1つ年下に妹がいる。
髪や瞳の色、外見的特徴に同じ遺伝子要素を疑うほどに全く似ていない妹がいる。
他人に流されやすくて、お人好しで見ていていつもイライラする、そんな性格の妹がいる。
その性格が災いして夢ノ咲学院では他の男にすぐ付け入られる[間抜けな妹]に心底腹が立っていた。
そうかと思えば突然留学するなんて言い出し、俺に何の話もせずに翌日には家を出ていき、また何も連絡もせずにふらりと帰ってきた。
そう言うのチョ〜うざぁい。
久しぶりに見た妹は伸びた藍色の髪を揺らして、あの時より少し大人びた顔で『また』他の男に笑い掛けていた。うざい。
うざいうざいと思いながらも、また戻ってきたことに本当は少しだけ安堵した自分もいる。
「あれ?A寝たの?」
入浴後のスキンケアを終え、リビングに顔を出せば写真を撮る父親とレンズに収まるのは眠る妹。
父親も、母親も、Aがいない間、本当に寂しそうだったからしばらくは親孝行しなよねぇ。
「疲れているさ。アイスを食べ終わったらあっという間に寝てしまったよ。
パパが運ぶから泉は部屋の扉を開けてくれないか。」
立ち上がりAを抱き上げようと手を伸ばす父親のもとに駆け寄り其を制止させた。
「また腰痛めるんじゃないの。
Aは俺が運ぶからお風呂入ってきたら。」
首の後ろと、膝の裏に手を入れ、パジャマ姿のAを抱き上げれば鼻につくのはシャンプーの甘い香り。
抱えたことで「ん〜」と身動ぎするもそれは一瞬でまた規則的な寝息に変わる。
Aの部屋のベッドにそっと寝かせ、前髪を撫でて自室に戻ろうとするも、それは俺よりも小さな右手によって叶わなそうだ。
「…あぁ、もう。」
起こしてしまうのも癪だし、掴まれた服を外す気も起きず、この広いベッドにそのまま寝てしまえばいい。
ほんのりと甘いイチゴの味と、お肌のゴールデンタイムだと言い聞かせそっと瞳を閉じることにした。
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モカ(プロフ) - 架月*さん» コメントありがとうございます!初めてこのお話にコメントが来たっ…!!非常に嬉しいです。更新頑張りますね。 (2017年6月23日 21時) (レス) id: efb045d001 (このIDを非表示/違反報告)
架月*(プロフ) - あとがきとあり、ここで終わってしまうのかと思ったのですが、続編と聞いてワクワクしてます!頑張って下さい! (2017年6月23日 21時) (レス) id: 6bbbbd55e1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:モカ | 作成日時:2017年6月9日 6時