日々樹渉の『いもうと』ちゃん

いーち ページ2

10月

秋が間近に感じられる今日この頃。

私は学校のガーデンテラスで寛ぎながら本を楽しんでいた。



本は好きだ。

ページをめくる度に乾いた音を立てて次の文章が現れ、物語が続いていく。

最近は電子書籍などもあるが、私は実際に手にとって見られる方がいい。


穏やかな時間だなぁ〜、なんて少し高くなった空を見上げながらそう思っていると


「Amazing!貴女のお兄ちゃんですよ！」


草むらから何かが飛び出してきた。

しかも鳩と共に






「……」

何の反応も見せない私に少し寂しそうにする兄。

その様子にクスリと笑みを零すと、
「ごめんごめん兄さん、いきなりで驚いたから。」

そう謝った。それから、

「それで？どうしたの？」

「私は何も用は無いですよ♪ただAに会いたかっただけですよ！お兄ちゃんは嬉しいです！」

うん、ありがとう。でもね、わしゃわしゃ頭を撫でるのは止めようか。髪の毛がぐしゃぐしゃになっちゃってるから。

「おっと、これは失礼♪」

そういいながら、髪を結び直してくれる。



私の兄は不思議な人だ。


あまりにも奇怪すぎて、三奇人、と呼ばれている。

まぁ、ぴったりだな、なんて思ったりもしているのだが。

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