駆紋家の妹ちゃん。 【仮面ライダー鎧武】【駆紋戒斗】

５年越し。 ページ42

ザック「もう５年も前なんだな〜………」

ザックはそう独り言を漏らした。

今現在、メイクの担当者さんに髪を軽めにムースで硬めて貰っているのだが、担当者さん越しにチラチラと見える鏡の中の自分がキリッとしていて何だか恥ずかしい。

殆ど着た事の無いスーツを纏っているのだけでもドキドキしているのに。

担当者「そんなに強張った顔にならなくて良いんですよ。きっと、緊張しているのは新婦様も同じでしょうから」

ザック「ははっ、それでも緊張しちゃうんですよ。まだアイツも２１なのに」

担当者の言葉にザックは笑う。

先程よりも少しばかりは緊張が解れただろうか。

担当者「出来ましたよ。式までお時間ありますから、少しゆっくりしていて下さいね」

担当者はそう言い残すと、部屋を出て行った。

それと入れ替わる様に戒斗が部屋へと入って来る。

戒斗「中々似合ってるじゃないか」

ザック「そんなにジロジロ見んなよ。照れるだろ」

戒斗「後には誓いのキスが待っているんだぞ。こんな事で照れてどうする」

戒斗の真っ当な意見に、ザックはぐ、と唇を噛んだ。

ザック「でもなぁ、何かこの５年間、めっちゃ早かった気がする」

戒斗「いきなりどうした。これからは５年間と言わずあいつをお前が任されるんだ」

ザック「あはは、そうだな」

ザックは笑うが、心の中は未だ緊張でいっぱいだ。

こんな慣れない服に慣れない場所でも、懐かしさを感じるのは戒斗が居るからだろう。

ザック「お前、寂しくねーの？」

戒斗「今更何だ」

ザック「これからAにも余り会えなくなるだろ？俺と一緒にアパート買っちゃったし」

戒斗「ザックとなら任せられる」

ザック「問題無く過ごせるのと寂しくないかなんて関係ねーよ」

仏頂面の戒斗にザックは笑い掛けた。

戒斗「寂しくない、と言ったら少しは嘘になるかも知れないな」

戒斗は呟くが、少しだけ口角を緩めた。

戒斗「でもそれよりも嬉しいが勝っている。幼い頃からのあいつの夢を、今日叶えられるんだからな」

ザック「だな。まだ時間あるし、そろそろAんトコ行ってやれば？」

戒斗「まだ今はメイク中だろ。担当者が呼びに来るだろうし、まだここに居る」

戒斗はそう言って椅子に座った。

戒斗「………ザック」

ザック「おう」

戒斗「あいつの事、しっかり頼む。何かあったら電話してくれ」

ザック「寂しいから電話して欲しいんだろ？素直じゃねーなお前」

戒斗「煩い」

戒斗はそう言って微笑んだ。

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