〈文スト〉トリ愛、ウバイ愛。

ハートが１６個 ページ18

「じゃあ云ってあげよう。最近体重が増えて困ってるAに」





『え、ちょっと！？！？』




いきなり乙女の悩みを暴露したんですけどこの人！！




「え、何？最近肌が荒れ気味だと悩んでるA。僕未だ黒歴史暴露並みに恥ずかしい事云ってないんだけど」




『女性にとっては黒歴史暴露並みに恥ずかしい事です！』




何を云ってるんだ此のデリカシー皆無上司…！！！



…でもまあ、この調子ならその黒歴史暴露並みに恥ずかしい事とやらもそれほど恥ずかしくないのでは…？









「失礼だねぇ、デリカシー皆無上司だなんて」




『こ、声に出てました！？』



「あ、矢っ張り思ってたんだ。顔に書いてあったよ、デリカシー皆無上司って」





油断してたらカマかけられた。






Aに非道い事云われたからちょっと意地悪してやるとか呟いた乱歩さん。



先刻余裕ぶった私の莫迦。
先刻油断した私の莫迦。
もう逃げたい。





「A〜、今から云っちゃうけどさー。自分で気付かなくて善いのー？」




自分で気付かなくて…？

乱歩さんの視線の先には私が着ている上着。



はて、歯磨き粉やら可笑しなゴミでも付いているのだろうか？

そうだったらそうで恥ずかしいけど。





じゃあ云っちゃうけど、と前置きした乱歩さんはスッと息を吸った。

そして先刻より少しだけ声量を上げて。









「ねぇ、上着裏返しに着てるけど」









『……え』









恐る恐る上着を見ると、普段は裏側に隠れて見えない筈のタグが眼に入った。




乱歩さんの声により私に視線が集まる。
痛い、視線が痛いです…。









「……プッ」


「ふふ……」




噴き出す音、笑いを堪える音……。









たしかに黒歴史暴露並みに恥ずかしい。



しかし周りの人に聞こえる程の声で云うのは辞めて頂きたい。





『ら ん ぽ さん……？』





「(あ、やり過ぎた)」





『後で一寸だけお話があるんです。大丈夫、一瞬で楽になりますから』




「(路地裏で縛られるよねこれ)抵抗するAが余りにも可愛かったから、つい」





『ふふ、そうですかぁ。尚更早くお話がしたくなったので仕方ないですけど一緒に飲んであげます』




「わ、わーい」




仲睦まじいカップルの中に、鬼のような形相の彼女と、汗をダラダラと流す名探偵が一緒にジュースを飲む可笑しな光景が広がっていたという。

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