【ツイステ】NRC警備隊【本編】 (ページ21)

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ベリル・キングスカラー／チェシャページ21

「遅ぇな…姉貴にしちゃあ珍しい。」
「そうッスね…なんかあったのかな…。」

授業が始まる3分前。昼休みはたっぷりあったはずなのにレオナとラギーの待ち人は一向に来ない。待っている人が待っている人なだけに授業だ、とここを去ることはできなかった。

何かあったのだろうかと心配しながら待っていると鐘の音同時に黒い髪を長く伸ばした女がやって来た。彼女こそ二人の待ち人、レオナの姉であり、ラギーの恋人であるベリルだ。

「ごめん、途中で任務に入っちゃって。」
「怪我してないッスか??もうちょっとおしとやかにしないとバレちゃうッスよ…。」
「平気平気。レオナはここにいてもいいとして、ラギーは授業行かないの??」

そんな世間話をしながらどこか別のところでベリルは頭を回す。今回狙われたのはエース・トラッポラ。ハーツラビュルの一年生で、風魔法が強いということだった。警備隊には彼の姉、ジョーカー・トラッポラが所属している。

ひょっとすると、オーバーブロットの事件が起こった寮と同じ順番に狙われるんじゃないだろうか。となると、次に狙われるのはサバナクロー。

…レオナはそういうの敏感だからないだろうけど、主要メンバーだとジャックくんかラギーだ。…次に狙われるのはラギーかもしれないという恐怖に少しだけ心が痛くなる。

「おい姉貴、なんかぼーっとしてんぞ。」
「ごめんごめん、そういうつもりじゃなかったんだって。」

昔セレナがターゲットになったベリルにとって身内が服用者になるということがどれだけ辛いかは誰に言われずとも辛い経験である。慰められようが何だろうが、自分にとっては『警備隊である自分の身内に服用者が出てしまった』と認識するのだから。

だからこそ、止めなければならない。

万が一服用した時に自分の愛する人を守るために戦わなければならないのだ。

「ま、オレが服用することも、レオナさんが服用することもないッスから心配御無用ッスね‼ジャックくんなんて絶対ないッスから。」
「ったりめーだろ。姉貴を困らせるわけねぇ。」

シシシッ!!と笑う恋人に、真剣な目でこちらを見つめるレオナ。この温かい空間を守りたいと思う反面、なんだか嫌な予感もしていた。

______このとき気がつくべきだったんだ。

______人の顔は性格をを表さないってことを。

______犯人は無差別犯なんかじゃないってことを。