その28 ページ4
「ーー聞いてもいいですか」
「何だ」
「この件は、高杉さんの求めている物に対して、良い方向に進んだのでしょうか」
「オメーには非常に面白ェモノを見せてもらった」
此れに免じて、過ぎた事は忘れてやらァと言った彼に対し、私は口を開く。
「...では一つ、私に褒美を頂けないでしょうか」
すると高杉さんは少し間を空けて、「いいだろう」と頷く。
「何が望みだ?」
「...手を、握って欲しいです」
「...手?」
余程予想外だったのだろう。私の言葉に高杉さんは、僅かに目を開いている。
「...高杉さん」
「何だ」
「喧嘩をした時、高杉さん言いましたよね」
ーー「テメーは女なんだぞ」
「私、あの時の言葉に、酷く傷つけられました」
あの時の事を思い出したのか、「あァ...」と、少しだけ顔を歪める高杉さん。
「だけど、私も貴方に対して酷い事言いましたし、好き勝手にやってしまいました。どうですか。此処はおあいこって事で、仲直りの握手しませんか」
「仲直りだァ?」
「はい!」
そう言いながら、彼の手を取る。
繋いだ彼の手は、少し冷たかった。
それをブラブラと揺らしながら、「ハイ、な〜か〜直り〜」なんて適当なリズムで口ずさむんでいると、彼は「何だそりゃ」と小さく笑った。
「...高杉さん」
「...あ?」
「何れ私は、貴方の心を貰うつもりです。ご存知とは思いますが、私はしつこいですよ?覚悟しておいて下さいね」
「そうかィ。じゃあその俺の心とやらを奪うまで、精々頑張るんだな」
「はいっ!!」
こうして、組織までを巻き込んだ、高杉さんとの喧嘩は一件落着となった。が、しかし、もう一つ、片付いていない事があるーー
「てんめェェェェェ!!!よくも騙しやがったなコノヤロォォ!!!」
「騙すだなんてそんな、人聞きの悪い」
「ごちゃごちゃ言うんじゃねェェ!ちょっとイイ人なんて思った私がバカだった!」
.
バタバタと廊下を走り回る、神威とA。そしてそんな二人の様子を他人事の様に見守る鬼兵隊の幹部達。
「またやってるッス、あの二人...」
「犬猿の仲って奴ですね」
「仲良くなったと思ったらこの様...やはりあの二人は根本的にウマが合わないのでござるな。...そうでござろう、晋助」
「ーーさァな」
不穏な空気に包まれていた鬼兵隊にも、漸く、日常が戻ってきた。
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ソラ - 小鳥遊。さん» コメントありがとうございます!!そう言ってもらえて嬉しいです……!! (2020年11月21日 3時) (レス) id: 91b092121c (このIDを非表示/違反報告)
小鳥遊。(プロフ) - うおおギャグ線たかあ!すきです!! (2020年11月15日 0時) (レス) id: f219b8854f (このIDを非表示/違反報告)
ソラ - みきゃんさん» お待たせしました!!これから夢主は戦場に出向くので是非最後まで見届けてあげてください!笑 (2020年8月27日 21時) (レス) id: 8e0ffc6cd3 (このIDを非表示/違反報告)
ソラ - 有頂天ボーイさん» ありがとうございます!!更新が遅くなって本当に申し訳ないです!!(^^;) (2020年8月27日 21時) (レス) id: 8e0ffc6cd3 (このIDを非表示/違反報告)
みきゃん - やばい…続きが気になりすぎる!夢主ちゃん頑張れ〜! (2020年8月25日 16時) (レス) id: 937adfbd17 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ソラ | 作成日時:2020年5月9日 3時