その15 ページ19
先程、この間の件がトラウマとなって男の人が怖くなってしまった、と上司である高杉さんに伝えた。鬼兵隊は男所帯で、女は私とまた子ちゃんだけだ。そんな状態ではこの仕事をやっていくのは難しいだろうから、と確かに私はそう伝えた筈だ。
「...そ、そう言われましても...」
なのに高杉さんはくだらねーこというなと一蹴したかと思えば、俺に触れてみろ、ととんでもない事を言い出した。
「...出来ないんです...」
以前の私ならばそう言われたら遠慮なく彼の胸へと飛び込んでいただろうが、今の私は、あの神威さんさえ払いのけてしまう程、男の人に触れられるということに対して敏感だ。
高杉さんに対しての好意は以前として変わらない、と言うか以前よりも増しているというのに、触れられないこのもどかしさを何処にぶつけようか。
...畜生、高杉さんに触れられるチャンスなんてまたとしてないんだぞ！動けこの手、この足...！こうなったのも全部あの遊廓のクソ野郎のせいだ。
あの男、次会ったら殺す。間違いなく殺す。
思わず拳を握り、溢れ出す感情を抑え込んでいると、「...どうした、来ないのか」という高杉さんの声。
「それともこの俺に触れたくないとでも？」
「い、いえ...決してその様な事は！！で、でも体が言うことを聞かないんですっ！」
慌てて否定すると高杉さんは小さく鼻で笑った。
「はあ...はあ...っ...くっ...！！」
ジリジリと距離を詰めて行くごとに身体中から吹き出す汗と荒くなっていく呼吸。これ、端から見たらどんな光景なんだろうな、と一瞬過った。が、直ぐに考えるのを止めた。
.
高杉は思った。何だ、この光景は。俺は一体何をしているんだ、と。
目の前で息を荒げる女は部下であり、自分を大層慕っている女。その女に向かって、トラウマを克服させようと触れてみろと提案したはいいもののーー
「...ぐっ...！が...っ！」
ーーこの様である。
高杉は疑ってはいたがどうやらAは本当に男に対する恐怖心とやらがあるようで、高杉に近づくのも精一杯の様だ。そんな状態がかれこれ１０分程経過しており、流石に痺れを切らした高杉が、自ら行動に出ようとした時だ。
ちょん、と彼女の指先が高杉の体に触れたのは。
「...で、出来ました...！」
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ソラ - 小鳥遊。さん» コメントありがとうございます！！そう言ってもらえて嬉しいです……！！ (2020年11月21日 3時) (
レス) id: 91b092121c (このIDを非表示/違反報告)
小鳥遊。(プロフ) - うおおギャグ線たかあ！すきです！！ (2020年11月15日 0時) (レス) id: f219b8854f (このIDを非表示/違反報告)
ソラ - みきゃんさん» お待たせしました！！これから夢主は戦場に出向くので是非最後まで見届けてあげてください！笑 (2020年8月27日 21時) (レス) id: 8e0ffc6cd3 (このIDを非表示/違反報告)
ソラ - 有頂天ボーイさん» ありがとうございます！！更新が遅くなって本当に申し訳ないです！！(^^;) (2020年8月27日 21時) (レス) id: 8e0ffc6cd3 (このIDを非表示/違反報告)
みきゃん - やばい…続きが気になりすぎる！夢主ちゃん頑張れ〜！ (2020年8月25日 16時) (レス) id: 937adfbd17 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ソラ | 作成日時：2020年5月9日 3時
