キズナ【イナズマイレブン】 (ページ21)

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シット01 ページ21

太陽が沈みあたりが薄暗い中、俺は青髪を揺らしながら走っていた。

「はぁ……はぁ………」

カザニの夜はだいぶ冷え込む。白い息が上がり、冷たい空気が心地よい。

30分ほど走ったころ、イレブンバンドが鳴った。『ご飯できたよ。早く戻てきてねbyA』の文字が流れる。

それを見て思わず唇が緩む。彼女からメッセージ……といっても事務連絡だが……が来たことに喜ぶと同時に、胸の奥で黒い感情が渦を成す。

Aは情報係としてロシアに呼ばれた。そのせいもあり、彼女は一星や野坂と仲が良かった。楽しそうに談笑している姿を見るたびに、黒い感情がとどめなく溢れ出す。

いつからこんなに彼女を好きになったんだろう。

その答えはいつも決まって“いつの間にか”だ。

こんなにも苦しいだなんて知っていたら、彼女を好きになんてならなかったのに。ああ、でもそういえば。

「何回も諦めようって思ったのに、結局好きなんだよなぁ」

はあ、というため息とともに上がった白い息が消えるのを見届けて踵を返す。

タン、タン、タンとリズムよく走る。

小さく宿舎が見えた時、ベンチに小さな影が見えた。

誰だろう、と気になって近づくと、段々とはっきりと見えてくる。……Aだ。

「こんなとこで何してるんだ？風邪引くぞ」

彼女はベンチの背にもたれかかり、首を90度に曲げて空を見ていた。

「星、見てたの」

「ここじゃなくてもいいだろ……」

「だって、ここって風丸のランニングコースでしょ？」

遅かったから、呼びに来たと彼女は言う。

わざわざ宿舎から出てこなくてもイレブンバンドにもう一度メッセージを入れれば済むだろうと思ったが、彼女なりの優しさなので黙っておいた。

ぼんやりと空を眺め続けるAに若干呆れながらも彼女と同じように空を仰いだ。

赤、青、白と様々な色の星が瞬く。不思議なことに自分が空に吸い込まれていくような感じがして、彼女が一心に眺め続けていることに納得する。

「……くしゅんっ！」

彼女が外に出てだいぶ時間が経っていたのか、小さくくしゃみをした。それをきっかけに止まっていたかのような時が再び動き出す。

「風邪引く前に戻るぞ」

俺は彼女を立たせると、羽織っていた長袖ジャージを彼女の肩にかけた。