No.1 ページ1
北山side
ピシャン…ポチャン……
個室に響く水滴が落ちる音。
暖かい湯船に服を着たまま浸かり、冷えた身体を暖める。だけど、まったく体の温度が上がっている感覚はない。
何故服を脱がなかったのかも分からない。
分からないと言うのも何かへんだけれど。
水面に映る自分はまるで他人を見てるかのように無表情だった。
「何してるの?」
声がした方へと視線を移すとそこには愛しい存在が驚いた顔をして立っていた。
俺には一緒に暮らしている同性の恋人がいる。
北「おかえり、太輔」
藤「ただいま、ひろ」
彼とは愛していた人を裏切って結ばれた。
どうしようもないくらい誰よりも彼を愛してしまったから。
この関係に名前をつけるとしたら略奪愛というのだろうか。
バシャァァン…
太輔は 風邪を引くから と言いながら俺の腕をとり、湯船から出した。
びしょ濡れになった服を脱がせてくれて、フワフワのバスタオルでふいては、新しい服まで着せてくれる。
本当に出来た男だ。
顔も良くて、性格も良い、彼のスパダリ的な部分は俺がこいつにひかれた理由でもある。
藤「今日も舞台の練習だったの?お腹空いてるだろうし、なにか食べるならすぐ用意するけど」
北「肉食べたい…」
藤「ふふ、制限かけてたんじゃないの?」
早くとすり寄れば、愛しそうに俺の頭を撫でるとキッチンへと向かい料理を作り始めた。
俺はそんな彼の後ろ姿をソファーに腰を下ろして見つめていた。
太輔は完璧だ、アイドルという職業すら天職なくらい。
一緒に暮らし始めて、それまで少しくらいは自炊していたし家事はそこそこ出来る方だと思っていたけれど、彼が身の回りのこと全部してくれるおかげで俺は何もしなくなり、出来なくなった。
俺はどんどん太輔のせいでダメになっていっている。
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藤北のチェリー(プロフ) - チカさん» 長文コメントありがとうございます!とても、嬉しいお言葉…!それに、どちらかの目線でよみかえしていただけて本当にありがたいです。話のコンセプトがつたわったのなら嬉しいです。これからも短編かこうと思うのでよろしくお願いいたします。 (2017年4月23日 23時) (レス) id: 219a4e96b6 (このIDを非表示/違反報告)
まほまま(プロフ) - やっぱり藤北はこーでなくっちゃ(*´艸`)対面座位だと当たっちゃいますね〜///で、仲直り?したとたんみっくんみずから寝室にお誘いとはー(*´艸`)たちっぱなたいちゃんをほっとけなかったのか、みっくんが欲しくなっちゃったのか///また短編お待ちしております! (2017年4月20日 23時) (レス) id: de2262a235 (このIDを非表示/違反報告)
チカ(プロフ) - でも、座った時当たってた(*ノ▽ノ)とか…藤ヶ谷さん目線で読み返したらそれはもう北山さんへの愛でしかない!なんてちょっぴり隠れてる明るさも見えたりして。簡潔なのにお互いへの色んな気持ちが読み取れました。いつもコメントまとまらなくてごめんなさい(汗! (2017年4月20日 23時) (レス) id: f2bec80607 (このIDを非表示/違反報告)
チカ(プロフ) - 短編なのにちゃんと2人の間の空気が伝わってくる…毎回凄いなぁ!と楽しませて頂いてます(゜ロ゜ノ)ノ略奪愛。読み終わって最初感じたのはやっぱり藤ヶ谷さんがちょっと怖かった(多分北山さんの目線になって読んでたからかな…)ということ。 (2017年4月20日 22時) (レス) id: f2bec80607 (このIDを非表示/違反報告)
藤北のチェリー(プロフ) - 未来さん» コメントありがとうございます。愛してるからこそショックが大きいんでしょう。そうなった時、きっとガヤに論破されてしまうみつも見たいですね。焦るガヤさんもみたいかもしれません(笑) (2017年4月20日 7時) (レス) id: 219a4e96b6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:藤北のチェリー | 作成日時:2017年4月17日 0時