スマホから推しがでてきた 続 【北信介】

30日目 宅 ページ44

ある意味地獄のような電車内も乗り切り、

今は北さんの家まで歩いている。

北さんはやっぱり平然としてて、私だけが緊張してる

そらそうか。ただの先輩後輩だもんな

家の方に後輩のご紹介に緊張なんていらんよな。



「ん、着いたで」

北さんが足を止める。

『ここが北さんの家…』

The・和。北さんらしくて少し安心する。

これでシルバニアファミリーみたいな家だったら驚くかもしんない。

『き、北さんちょっと深呼吸させて…』

それでも他の人の家に上がる、それも異性の先輩の。

緊張しないわけがない。

北さんは黙って私を待ってくれる

言葉通り何回か深呼吸をして、覚悟を決める。

『北さん、もう大丈夫です』

「ほうか。じゃあ開けるで」

そう言い北さんはただいまと言い潔く扉を開けた。

や、まってそんなスピーディーにやられると…

「おかえり、信ちゃん。…あらま」

居間らしき部屋から、可愛らしいお祖母様がお見えになる。

この方が、北さんのおばあちゃんさん…

「柘榴、そないなとこで立っとらんではよ入り」

『は、はいっ』

北さんに促され慌てて玄関に入る。

『お邪魔します！！』

緊張のあまり大きな声になってしまった、

「ふふ、可愛ええなあ。貴方、お名前は？」

ふわふわとした可愛らしい雰囲気で、ゆったりとした口調は実家のおばあちゃんを思い出す。

『あ、柘榴Aです。えと、北さんにはいつもお世話になっています』

たどたどしいのが自分でも手に取るように分かる。

「Aちゃん…ええ名前やなあ。ほら、上がり」

『はい、お邪魔します…』

北さんのおばあちゃんのおかげで、少し解れた気がする。

靴を並べ、家にあがらせてもらう。

(北さんの匂いと、他の人の家の匂いがする。)

なんとも不思議な感覚だ。

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