スマホから推しがでてきた 続 【北信介】

体育祭 4 ページ5

[プログラムナンバー___、2学年種目短距離。]

放送が流れてきた。

タイム順だから、最後の方だ。

緊張はしていない。

ただ、毎朝やっていたことをやるだけ。





緊張ではなく、楽しみ、興奮からくる昂りを抑えるため深呼吸をする。




2年は短距離を選んだ人が少し少ないらしい

すぐ私の番だ。

トラックを踏みしめる。

心を落ち着かせて、ピストル音をよく聞いて。


パン、とピストル音がした。

前だけを見ろ。

周りは気にしない、手足を動かして。


最後まで力を抜かないで、ちゃんと走る。


[ゴール！1位は白組の柘榴さんです！]


ゴールテープが切れる感覚。


『っ、やった…』

少し崩れた姿勢を立て直す。


やっぱ、走るの好きなんだな、私。



短距離が終わって自席に戻ると、声をかけられた

「A足速かったんやな」

『ありがと、朝練のおかげだ』

ゆいにそう言われ嬉しくなる。

「柘榴」

『治君』

まだ少し気分が上がっているようで、私はすこし声が弾んでいた

「朝練の時よりよお速かったわ」

『よかった。タイム測れたらよかったんだけどね』

体育祭だから、タイムは測れない。

折角だから測りたかった。

「そお言う思って測っとったよ、スマホで」

ほら、とスマホの画面を見せてくれる治君

『か、神っ…！ありがとう！』

スマホには私の中で一番の記録が映っていた。

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