純-Ki-F-【2】

Ki02 ページ9

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初めての単独レギュラー。





俺にとっては

未来への扉を開いたような

かけがえのない、番組だった。





はじめてをいっぱい体験させてもらった。

知らない世界をいっぱい見せてもらった。

グループのために、俺ができることだと思った。





…それを失った喪失感は、半端じゃねえ、








「…っ、っ、」






胃を握り潰されたみたいな

激痛が襲う。




じわり、涙が込み上げる。




ああ…、やっぱり飲み過ぎたか…？







「…っ、ぅ、…くっ」








馬鹿、

また新しい仕事をもぎ取りゃあいい話だろ？





人脈だってこの仕事で沢山築いた。





弱音なんて吐いてる時間はない。

立ち止まってる時間なんてない。

ここで得た事を活かして次に何ができるか。





切り替えろ。早く。切り替えろ。







「…っ、」








ボロボロ、

俺の意図に反して止まらない涙。




んだよ、どうなってんだよ、

も、…わけわかんね、、








「あ、…っ、…っ」








勝手に出てくる涙を

しゃくり上げるような情けない声を



掻き消したくて

クッションに顔を埋める。





こんなことで涙が止まらない

自分が悔しくて

何度も何度もクッションを殴りつけた。






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「はー…、っ、はー…」






ひとしきりクッションを殴りつけた手が

だら…、とソファから落ちる。





無駄な抵抗をする体力も

俺には哀しい程に残っていなかったみたいだ。





頭がガンガン割れるように痛む。




それでも、ボロボロと涙は溢れ続ける。




…っ



なんでだよ、涙、止まれよ…







「…っ、は、…っ、ハアッ、」







止まれって…

言ってんだろうが、クソが…っ







「ぅ、っ、ハアッハアッハアッ…」







急に喉がぎゅうっと細くなって

呼吸がしにくくなった気がする。




酸素が薄くなったからか

ぐにゃりと視界が歪んだ。




ひゅっと喉が鳴って

目を見開く。




苦しくて、苦しくて、

震える手で喉元を掻き毟るけれど

その行為は全く意味を為さなくて…





なんだ、これ…





どくどく、と嫌な鼓動が

身体中を支配する感覚に陥った。








.







…ブブッ、





耳元で突然震えたスマホ。







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画面の表示を見ずに

無意識に手を伸ばしたら







F「…北山？朝からごめん。もう起きてたんだ」







柔らかい声色で話す

藤ヶ谷の声が微かに聞こえて




…なぜだか、さらに涙が溢れた。






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