純-Ki-F-【2】

F03 ページ39

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はあ、と上から降ってきた溜息。




更に泣きたくなる気持ちを

唇をグッと噛み締めて堪える。






＊「全く、いつもは真面目な藤ヶ谷が珍しいな。…今回だけは大目にみてやる。集中しろ。」






その言葉に






「…っ、はい！」






パッと顔を上げた




その瞬間、








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「……っっ」







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キラキラした

甘くて魅惑的な、何かが




目の前で弾け飛んだ、



ような気がした。







何かと共鳴するように時間差で


ブワワワ…、と

全身に伝染するように鳥肌が立つ。







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背を向けて立ち去る先生の向こう側に


少し大人びた、新人の姿。





日焼けした黒い肌に

鋭い、真剣な眼差し。







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………北山、だ。






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どくん、と

大きく胸が高鳴って



こめかみを汗が一筋伝った。








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……北山だ、北山がいる、







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…うん、


好きだった、ということは覚えてた。





胸が焼けてしまう程に

心臓が抉り取られてしまう程に



それこそ

枯れてしまうくらいに涙を流す程に





彼のことを


強く

強く



想っていたことを

痛い程にはっきりと覚えていた。




でも、北山の顔も声も

下の名前さえも


俺は何一つ覚えていなかった。





だからいつか北山に会えた時、



以前の人生と同じように

もう一度彼のことを好きになることなんて

できるだろうか…




…なんて



漠然と不安に思ったりもしたけれど






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要らぬ心配だったみたいだ。







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不慣れながらも

必死にレッスンに喰らいついて




真っ直ぐに前を見据える

その瞳に



その、唯一無二の存在に








自然と口角が上がった。








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と、その時。








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なにか、



　 知らない光景が






...フラッシュバックの、ように、、








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「あ...、あぁ...っ」







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どす黒くて

埃っぽくて



禍々しい、記憶が...







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『...ちょっとチクっとするけど、

ぶっ飛べるよ？』







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Fin...

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