純-Ki-F-【2】

Ki05 ページ29

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「…ん、」




見慣れない、天井。




F「…っ、北山！？」





に、被せて藤ヶ谷のドアップ。





「ふじ…？」





F「…良かったぁ〜……身体ちょっとは楽になった？」







酷く安堵した表情の藤ヶ谷に

よくわからないまま、
とりあえず頷いてみる。








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なんだ？
どこだここ？


俺、どうしたんだっけ？



確か、…そうだ、

歌番組の収録後に楽屋で倒れて…









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はたと大事なことに気付いた。





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「…っ！？今、何日の何時だ！？」




何日寝てた！？

仕事に穴なんかあけてないよな！？？





F「北山！」





勢いよく起こした身体をガッと掴まれて

そのままやんわりと制して
ベッドへと戻される。







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F「大丈夫、3時間くらいしか寝てないよ」




「あ…」




F「ここ、病院。点滴通うこと前提なら、明日も仕事していいって」









良かった、と

息をついた瞬間、









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F「北山、お説教だからな」









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ピシャリ。






怖い顔、というより

不貞腐れた顔をした藤ヶ谷が
俺のことを睨みつけていた。






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F「無理しすぎ！抱え込みすぎ！頼らなさすぎ！年上ぶんな！」




「は……？」






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お説教というよりは
子供が駄々をこねるような言い方で捲し立てる。



じわじわじわ、と
藤ヶ谷の目が

みるみるうちに赤くなった。







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それを見て

気を失う直前にかけられた言葉を思い出す。





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F「俺にくらい、ちょっとは頼ってよ」


「…っ」







ポロリと涙を落とす藤ヶ谷の頭を
思わず抱き寄せる。




そうだ、…こいつはこういう奴だったな。





張りつめていた心が
藤ヶ谷の優しさで溶かされていくみたいだ。





「…悪かった、」



F「明日から、仕事の後に俺が病院つれてくからな」



「は…？」



F「新曲出たばっかで歌番組続くんだから、ちゃんと点滴受けてくれないと困る」



「……」




F「わ…っ！なに、なにすんだよっ…！」






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藤ヶ谷の頭を抱え込んだまま
わしゃわしゃと頭を撫で回した。





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「…ありがとな、」






茶化すような言い方も

その言葉に託された想いも


弱っていた心に
じんわりと、染み込んでいく。





苦しいとか辛いとか
そういう気持ちを一人で抱えることで

こいつに不安な思いをさせていたなんて
考えたこともなかったんだ。




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