純-Ki-F-【2】

Ki03 ページ18

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「あ゛〜〜……さっみいなぁ〜…」







ずびっと鼻をすすって

いつもの指定席にドカッと座る。








「急に寒くなり過ぎだっつーの」








おまえもそう思うだろ？って話し掛けながら

手元の袋に視線を落とした。









「だがな。そんな季節にぴったりのスペシャルなお土産を持ってきてやったぜ？」









にやり








目ぇキラキラ輝かせてる顔が浮かんできて

にやにやが止まんねえ。







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だって、今年初おでんたぜ？

しかも大根だけじゃねえときたよ。

その上、卵とちくわぶまでオマケしてやったんだ。




さらに売れてると噂の新作プリンだ？

あいつが喜ばない訳がねえ。









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うん。絶対喜ぶ。








俺の大好きな

パッと咲くようなあの笑顔と

柔らかい、あの声で。








『ありがとう、大好きだよ』

って、言ってくれるはずだ。









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「じゃーん！」









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おでんの蓋を開けて

卵とちくわぶを見せてみても。







新作のプリンを

袋から出してみても。









「……」









太輔の、嬉しそうな声は聞こえない。









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「…なあ、太輔？」









ゆっくりと目の前の相手を見上げてみても









「…っ、返事、しろよ」









そこには、おまえの姿はなくて









「約束通り、おでん買ってきたんだぜ…？」









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無機質な、灰色の石がそびえ立っているだけだ。









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