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目を覚ますと、今日はお仕事が休みだからか、目の前に松倉さんの寝顔があった。
3連休最終日だし、今日のうちに出来れば物件を決めたい。
「……ん、おはよ」
『おはようございます』
「もう起きんの?」
『はい、物件今日のうちに決めたくて』
「別に急いで出て行かなくてもいいのに」
『ご迷惑おかけしちゃうので、早く出ます』
「……ちょっと充電」
また腕を回して抱きしめてくる。
『あの』
「ん?」
『昨日のことなんですけど』
「あー、覚えてないや。ごめん」
『え?』
「お酒飲んでたから忘れちゃったな」
そんなことを言いながら、手は首にある痕をなぞってくる。
『でも そこは』
「なに、またつけてほしいの?」
『そうじゃなくて』
ゆっくり首に近づいてくる顔。
チュッと音を立てて痕に一瞬だけ唇が触れる。
『やっ、』
「その反応やめた方がいいよ」
『やっぱり昨日のこと覚えてるじゃないですか』
「さぁね。なんの事だか俺にはさっぱり分からないけど」
『……ズルい』
「拗ねないの。今コーヒー淹れてあげるから着替えておいで」
ずっと、優しい喫茶店のマスターだって思ってたのに
こんなことされたら、変に意識しちゃうよ。
はぐらかしてくるから、やっぱり私の感情を振り回して楽しんでるだけなんだろうけど。
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「それでは、本日のお手続きは以上となります。後日審査結果を確認後ご連絡させていただきます」
『はい。よろしくお願いします』
今日、やっと住みたいと思える家が見つかった。
この街が好きで、会社に行くのも楽だから離れなくなかったから、結局場所は近場だけど。
セキュリティはしっかりしていて、夕日が綺麗に見えるからとても気に入って、内見して即契約。
あの部屋に合うような家具探しもしないと。
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作者名:愛生 | 作成日時:2022年9月25日 18時